不動産取引時には注意!不動産の背任行為について詳しく解説!

不動産の取引において知っておくべき知識、そして、不動産取引の違法行為について解説いたします。

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背任行為の違法性とは

背任行為とは

背任行為は、信頼に対する裏切り行為、又は会社に対する裏切り行為を指します。
これらは、法律上の信任義務に背く行為ともいえます。

刑法第247条(背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。

【背任罪の構成要件】

  • 他人のためにその事務を処理する者
  • 自己もしくは第三者の利益を図りまたは本人に損害を加える目的(図利加害目的)
  • その任務に背く行為
  • 本人に財産上の損害を加えたとき

たとえば、会社で働く従業員のうち、デスクワークに従事している社員や会社の部長、課長が業務上においての信任義務に背く行為のことをいいます。
背任罪は、会社の利益を自己または第三者の利益に図る行為です。
例えば、会社の取引先から接待を受けて、本来100万円の仕入値を130万円で購入するなどです。この場合、会社は30万円損をしたことになります。

上記の例で言えば、仕入値が本来100万円であることを立証する必要があります。しかし、背任罪については、立証が困難な点もあります。ただし、過度の接待や取引先からの見返りを受け取っている場合には、その不正取引の立証性は高まります。

横領罪とは

刑法第252条(横領)
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

横領は、会社のお金やその他の財産の占有を自己に移して、支配権を移転させる行為です。法律用語では「領得」ともいいます。
例えば、取引先の集金に行った社員が会社に隠してお金を自分の財布に入れる行為が挙げられます。この場合、自分の財布に入れた分を減額して伝票を作る必要があります。しかし、それでは取引先の伝票と合わなくなるでしょう。そのため、場合によっては取引先の担当者とも口裏を合わせたり、横領のお礼として同担当者にキックバックする必要があります。現金のやり取りをすると、口座に履歴が残りません。そのため、後から事実を突き止めるのは、やや困難になるでしょう。

架空の口座を使った方法も考えられますが、履歴が残るため現金でのやり取りと比べると、あとで調べられたときに発見されやすくなるリスクがあります。

贈収賄

刑法第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)

  1. 公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
  2. 公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、5年以下の懲役に処する。

贈収賄の犯罪成立には、金銭を受け取ったものが公務員であることが要件とされています。従って、民間企業の社員が取引先業者から接待を受けたり、金銭を受け取った場合は背任罪が成立することはあっても、刑法上の贈収賄は成立しません。


但し、会社の取締役、会計参与、監査役、執行役が、その職務に関して不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、その要求又は約束を行った場合、会社法の「取締役等の贈収賄罪」に該当することになります(会社法967条1項)。
また、日本郵政(郵便局)やNTTの社員については、「みなし公務員」とされており、贈収賄の対象となります。そのほか、次のような立場の人はみなし公務員ですので注意して下さい。

  • 国立大学法人の役職員
  • 日本郵便の役職員
  • 日本銀行の役職員
  • 日本年金基金の役職員
  • 国民年金基金の役職員
  • 厚生年金基金の役職員
  • 駐車監視員
  • 公証人

官庁の職務を弁護士や会計士が代行する際にも、刑法上の公務員とみなされることがあります。

不動産における背任行為

二重譲渡や二重抵当による背任

不動産の権利を2人に重複して、譲渡や担保権を設定する場合があります。
民法では、このような行為の場合の扱いを規定しており、刑法上では犯罪が成立することもあります。
ここからは、二重譲渡と二重抵当による犯罪について説明します。

【二重譲渡による横領罪】

不動産を別の人に重複して譲渡することは、民法上では認められています。
しかし、同一物を複数の者に譲渡する行為は、刑法では自己の占有する他人の所有物を処分したものとして、横領罪が成立します。
例えば、AがBに不動産を譲渡した後、Aが同じ不動産を第三者たるCに譲渡する場合が、これに該当します。

不動産の譲渡は、登記によって対抗要件を備えるため、Bの所有権が登記される前にCに譲渡することが可能です。
そして、最終的な譲受人となるのは、先に登記を備えた者になります。
しかし、CがA、B間の譲渡を知る(悪意)の場合、信義則に反する動機があるとされ、登記がないBは、Cに対抗できるとされています。
なお、登記が遅れ不動産の引渡しを受けることができない被譲渡人は、Aに対して損害賠償などを請求することができます。

【二重抵当による背任罪】

不動産に抵当権を設定した所有者が、別の債権者にも抵当権を設定することがあります。
抵当権は、1つの不動産に対して、複数の登記を設定することが可能なのです。
そして、抵当権の優劣は、登記の順番により決まります。
設定した順序と登記の順序が異なると、抵当権の優劣が変わってしまいます。
甲に対し自己の不動産に根抵当権設定後、いまだその登記がないことを利用し、さらに乙に対して根抵当権を設定して、その登記を了する所為は、甲に対する背任罪を構成します。
また、譲渡担保権者が担保不動産に抵当権を設定する行為は、権限外の行為として、このような場合でも背任罪が成立します。
以上のように、二重譲渡や二重抵当は刑法上では、横領罪や背任罪が成立します。
しかし、民法上では、対抗要件の状況によって権利の帰属が異なる場合もあります。

不動産売買と登記制度

不動産の売買契約により、所有者は買主に移転します。
しかし、売買契約者(当事者)以外の第三者からは、所有者を把握することができません。これを公示するのが、登記制度です。

民法177条
『不動産に関して物権の得喪があった場合には、登記をしないと第三者に対抗することができない』

不動産の二重売買

第一買主と第二買主が所有権を主張しあう関係の場合は、先に登記を備えた方が、他方やその他の第三者に対して、所有権の主張ができます。もし、第二買主が先に登記を備えると、所有権の主張は第二買主が優勢です。


登記とは、このように所有権等の権利を公に示して第三者に権利関係を知らせる制度であり、登記対象の不動産取引を考える第三者は、その登記を見て権利関係を判断することになります。
ただし、たとえ登記していない買主であっても、「登記がないことを主張する正当な利益がない者」に対しては、登記なくしても所有者であることを主張できるとしています。


下記の者が「登記がないことを主張する正当な利益がない者」に該当します。

  1. 保護に値する利害関係を有しない者
  2. 登記がないことを主張することが許されるべきでない者

前者は、「無権利者」が挙げられ、不法占拠者や不法行為者になります。
後者は、「詐欺又は脅迫によって登記の申請を妨げた第三者」、「他人のために登記を申請する義務を負う第三者」、「背信的悪意者」、「登記がないことを主張することが信義に反すると認められる者」が挙げられます。
「背信的悪意者」とは、不動産の物件に変動があった事実を知っていながら、不動産を購入する人のことです。

二重譲渡・抵当の防止策と対処法

不動産取引の二重譲渡や二重抵当、それに二重売買などを防ぐにはどのように対処すればよいのでしょうか?

前述の通り、不動産の所有権を主張するには登記が必要となります。そのため、不動産を取得したらすぐに登記することが必要です。しかし、場合によってはそれでも第三者に先に登記されてしまうこともあるかもしれません。そのような心配がある場合に有効なのが「仮登記」です。

仮登記とは本登記ほどの効力は持たないものの、他に登記を狙っている人への牽制になります。仮登記されている不動産に別の第三者が登記しようとしても、仮登記した人が本登記をすると、第三者は不動産の所有権を主張できません。

「本登記の予約」といった側面を持つ仮登記ですが、これを売買契約締結時にしておけば、二重譲渡のような無用なトラブルを避けられるでしょう。

また、買主としては仮登記の前に売買の同意が得られた時点で、売主と「第三者とは売買契約を結ばない」旨の覚書を取り交わすのもよいかもしれません。そうすれば、売主はよほどの理由がない限り、第三者に売ろうと思わないでしょう。しかし、覚書を取り交わすということは、正式に契約書を結ぶ前から購入の意志を示すものとなります。売主はあなたに売却できるものと信じるため、覚書を取り交わしたあとはよほどのことがない限りキャンセルできないことに注意しましょう。

売主の対策としては、売買交渉中の相手を管理しておくことが重要です。相手の個人情報を管理して、どの相手とどの程度の売買金額でどこまで話が進んでいるのが、一元管理しておく必要があります。

売買しようとしている不動産が、両親や親族のものである場合、両親や親族自身が売買交渉をしている場合があります。そのような情報もきちんと把握しておき、二重譲渡が発生しないようにしておきましょう。

抵当権についても同様です。債権者の立場なら抵当権登記がされていないことを確認してから融資を決める、債務者の立場なら抵当権が設定されていないこと確認してから融資を申し込む必要があります。不動産においては登記の有無が重要になります。

不動産に関するQ&A

1.不動産取引における背任行為とは具体的にどのような行為を指しますか?

不動産を担保にして融資を受ける場合、その不動産に抵当権が設定されます。抵当権とは債務の返済が不可能となった場合に担保としている不動産を売却して(競売)、融資の返済にあてるというものです。つまり、担保にしている不動産は、融資の返済が終わるまでは半分自分の物であって、残り半分は自分のものでないような状態になるのです。

1件の不動産に対して複数の抵当権を設定することは可能です。しかし、抵当権を設定した債権者の順番で、返済不可となった場合に資金を回収できる優先順位が決まります。

抵当権を主張するには、抵当権登記が必要です。しかし、抵当権者が複数いる場合、第一抵当権者が登記していないことをよそに、第二抵当権者が先に抵当権登記したとします。そうなると、抵当権を取得した順番と実際の優先順位が入れ替わってしまうのです。

これでは第一抵当権者の権利が正当に主張できないようになり(登記しなかった第一抵当権者にも責任はありますが)、背任行為となるのです。

2.背任行為の被害に遭った場合、どのような法的措置を取ることができますか?

抵当権の契約順と登記順が入れ替わり、債務者が融資を返済不可能となった場合に正当な権利を主張できないとします。その場合、抵当権設定者(債務者)に対して損害賠償請求が可能です。

ただし、損害賠償請求は正しい手段で行う必要があります。必ず弁護士に相談の上、損害賠償請求をするようにしてください。法律知識のない人(法曹三者以外)が自力で損害賠償請求しようとすると、新たなトラブルに遭遇してしまう場合もあります。

3.不動産売買契約を結ぶ際、どのような条項を含めるべきですか?

売買契約書にはさまざまな条項を記載する場合があります。その一例を示します。

第1条(売買の目的物及び売買代金)

この条項は売主と買主、売買するもの(不動産)、そしてその代金を明確にして売買契約を締結したことを宣言するものです。

第2条(売買対象面積)

この条項は売り渡す不動産の面積を明らかにするものです。

第3条(手付)

この条項は手付金の支払いに関する内容を示すものです。

第4条(境界の明示)

この条項は売買契約締結後、売主が買主に対して現地で隣地との境界を明示することを定めています。「明示」とははっきりさせることであるため、現地で買主が理解できるまで説明する必要があります。

第5条(売買代金の支払時期及びその方法)

この条項は売買する不動産の代金支払い方法と、その時期を定める内容です。

第6条(所有権移転の時期)

この条項は物件の所有権移転時期を明確に定めるものです。二重譲渡防止や抵当権設定に必要な情報であるため非常に重要です。

第7条(引越し)

この条項は、売主が、買主に明示した日までに売買対象となる物件を明け渡すことを定めるものです。

第8条(所有権移転登記の申請)

この条項は、買主に対して所有権の移転登記申請手続き義務があることを定めるものです。売買契約を締結し、代金の支払いを終えた買主は必ず登記をしましょう。また、二重譲渡が心配な場合は売買契約時に仮登記を行うこともできます。

第9条(物件状況の告知)

買主は物件の状況すべてを現地確認のみで把握するのは困難です。そのため、売主は「物件状況確認書(告知書)」を使用して説明することを、この条項で定めます。

第10条(付帯設備の引き渡し)

この条項は、売買する物件の付帯設備の現状と、引き渡し条件を定めるものです。

第11条(負担の消す除)

売主は、売買物件を買主に引き渡すまでに、抵当権などすべての負担を消除する義務があります。もちろん、費用は売主が負担するものであり、この条項で定めています。

第12条(印紙代の負担)

この条項は、不動産売買契約書に貼付する当事者(売主、買主)の印紙代の負担について定めています。印紙税法や民法に関連する条項のため、重要になります。

第13条(公租公課の負担)

公租公課とは国や地方公共団体に収める税金のこと。不動産売買契約においては固定資産税や都市計画税のことを指し、売主と買主でどのように負担するか定める条項です。

第14条(負担金の分担)

この条項ではガスや水道、それに電気料金などの負担をどのようにするか定めています。負担方法は第13条と同様になります。

第15条(手付解除)

この条項は、手付解除の条件について定めています。

第16条(引き渡し前の減失・損傷)

この条項は、売買対象の不動産を引き渡す前に、自然災害など売主・買主双方に責任のない事由により不動産が減失、毀損したときについて、その損害を誰が負担するのか定めるものです。これを「危険負担」といいます。

第17条(契約違反による解除)

この条項は売主、または買主、あるいはその両方に契約違反があったとき、売買契約を解除できることを定めたものです。もちろん、条項の中には契約解除時に支払う違約金についても記載します。

第18条(反社会的勢力の排除)

この条項は売主・買主双方が以下のことを理解している旨を確認するものです。

  • 自らは反社会的勢力(暴力団やその構成員)でないこと
  • 反社会的勢力と一切かかわらないこと
  • 反社会的勢力の解除に向けた努力すること

上記に内容に違反があった場合には、契約の無催告解除や違約金も定めています。

第19条(融資利用の場合)

この条項は住宅ローンなど融資の承認が、期日までに得られない場合、あるいは融資を受けられないとわかった場合に自動的に契約解除となることを定めています。

第20条(契約不適合責任)

この条項では、契約内容に適合しないものがあるとき、その責任を売主が負うことを定めたものです。もし、契約に適合しないものを買主に売り渡してしまった場合には、売主が約束違反(債務不履行)の責任を負います。

第21条(諸規約の継承)

この条項では、物件利用に関して公法上定められている制約や規定が、そのまま売主がそのまま買主に継承させることを定めたものです。

第22条(協議事項)

この条項は、契約書に定められていない事項によって争いが発生した場合、お互いの信頼を裏切らないように行動することを定めたものです(信義誠実の原則)。

第23条(管轄の合意)

この条項では、売主・買主の間で訴訟を起こす場合、管轄する裁判所を明らかにするためのものです。本物件の所在地を管轄する裁判所に訴訟提起する必要があります。

第24条(特約事項)

この条項では、標準的な不動産売買契約書の雛形(約款)に記載されていない事項を定めるものです。ただし、法令に反する事項や公序良俗に反する事項を取り決めても無効になります。また、当然ですが売主・買主双方の合意のもとに記載するようにしてください。

まとめ

不動産売買では、登記設定の有無が所有権の主張に大きく関わっています。
もし、不動産を所有しようとする場合は、登記の知識が必要不可欠だと言えます。

株式会社ピ・アイ・オ

探偵社PIO編集部監修

本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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