その遺言書は本物?遺言書の偽造の見分け方と偽造を立証するには?
被相続人が生前に、自分の財産分与についての内容を記載しておくのが遺言書。法律で分与割合が決められている法定相続よりも、遺言書に記された内容が優先されるのが一般的です。
親の相続が原因で残された家族が揉めるケースは非常に多く、遺言書の偽造が疑われる場合も決して少なくはありません。
故人の意思や想いを守り、相続人に伝えるために強い法的拘束力を持つ「遺言書」。
遺言書は自身でも作成することができますが、中には誰かが偽造した偽物の遺言書が使用されるなどのトラブルもあります。偽物の遺言書が使われると被相続人の本来の財産分与意志は尊重されず、相続人にも不利益が生じることでしょう。
そこで今回は、遺言書に関する知識や遺言書が偽物かどうかを見抜く方法について紹介します。偽造を見分ける見極める方法を身につけてトラブルに対処していきましょう。
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目次
遺言書には大きく2つの種類がある
初めに遺言書の種類について見ていきましょう。遺言書は大きく普通方式と特別方式に分けられます。
普通方式の遺言書
普通方式の遺言書は、通常使用される遺言書のことです。普通方式はさらに自筆証書遺言と公正証書遺言、そして秘密証書遺言の3つのタイプに分けられます。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、恐らく多くの人がイメージするタイプの遺言書です。被相続人が紙とペンを使って、自分で遺言内容を記載していきます。証人をおかずに故人の自筆で作成し、遺言内容と日付、氏名を自筆した上で押印をすれば、他に所定の形式や手続きは不要です。故人本人が保管します。
紙とペンさえあれば、いつでもどこでも遺言書を作成できるのは大きなメリットですね。しかし一方で少しでも不備があると遺言書としての効力が無効になってしまうこと、また自分で管理をすることから偽造されるリスクが生じるデメリットもあります。
公正証書遺言
2つ目は公正証書遺言です。被相続人とは別に、2名の証人が遺言書作成の場に立ち合います。公証人が被相続人から遺言書に残したい内容を聞き取った上で、遺言書を作成してくれるのが特徴です。
専門家が遺言書を作成してくれるため不備が生じる心配がいりません。また作成された遺言書は公証人役場で保管されるため、偽造される心配も不要です。しかし遺言書作成に手続きを要すること、また手数料が取られることがデメリットと言えるでしょう。
秘密証書遺言
最後は秘密証書遺言です。遺言書を被相続人自身が作成した後、証人2名と一緒に公証役場へ持って行き、遺言書の存在を認めてもらうものを指します。
公証役場で遺言書の存在を認めてもらうメリットはありますが、自筆証書遺言と同様に、不備があれば効力が無効となること、また自分で保管することで偽造されるリスクもゼロではありません。
特別方式の遺言書
特別方式の遺言書とは病気や事故、災害などによって死が迫っている状況下で作成する遺言書を指します。
緊急時遺言と隔絶地遺言があり、さらにそれぞれ2種類のタイプがあります。
遺言書の偽造の主な方法
遺言書が偽造されるケースは実際に発生しています。遺言書の偽造の主な方法には「誰かがなりすまして、本人以外が遺言書を偽造する」「認知症の人を誘導して、本人の意志に反する遺言書を書かせて偽造する」という2種類があり、いずれの手口も、故人の遺志を裏切る卑劣な犯罪行為です。
具体的なケースは、認知症で認知機能に障害があるのに遺言書が書かれていた、麻痺で字を書くことができないのに遺言書が書かれていた、生前に話していた財産分与の内容と遺言書に書かれていた内容が全く違っていたなどのケースがあります。
遺言書の偽造の見分け方と立証するには?
「公正証書」による遺言書は、公証人が故人の身分や判断能力を確認しながら作成するので、偽造のリスクは低くなっています。しかし、「自筆」によるものや「秘密証書」による遺言書には、偽造の可能性が否定できません。
遺言書の偽造を見破るためには、「本人の署名が本物かどうか」「遺言書以外の手紙やビジネス文書の署名との比較を徹底する」ことが大切です。
認知症などで正常な判断能力を持たない故人を騙して遺言書を自書、署名させたなどの場合は、作成当時に認知症であったか否か、正常な判断能力を有していたかなどを医師に確認することが有効です。診断書などを証拠として、裁判で争っていくことになります。
もちろん、いずれの遺言書の場合でも、故人の署名が無い場合には無効を訴えることができますので、本人が一生涯書き続けた署名に違和感がないかどうかを、家族でしっかりチェックをしましょう。
本人以外に書かれた自筆の遺言書を見分けるには
自筆で書かれた遺言書は、家庭裁判所で「本当にその人が書いたものかどうか」の「検認」を受ける必要があります。
この検認は家庭裁判所の担当官が直接自分の目で見て行い、遺言書とそれ以外の手紙などの筆跡を比較し同じ人物によるものかを判定するのですが、ここで担当官の目を誤魔化すことができれば
偽造された遺言書であっても本物として扱われることになってしまいます。
このような場合には家庭裁判所に対して遺言無効確認の調停を申請し、筆跡鑑定の証拠書類などを提出して遺言書が無効であることを認めて貰わなくてはなりません。
筆跡鑑定は筆跡鑑定事務所などで行ってくれますので、遺言書の筆跡鑑定の実績の多さなどをよく考慮し頼むことも大切です。
もしこの調停で遺言無効の調書が作成されなかった場合は、遺言無効確認の訴えという裁判を起こし争っていくこととなります。
認知症の本人に誰かが「書かせた」遺言書の場合
成りすましの遺言書偽造よりも最近多いとされているのが、「認知症の人を騙して書かせた」偽造遺言書になります。
認知症などで「遺言書にどのような意味があるのか、法的にどのような効力を持つのか」が理解できない「遺言能力」が欠如した状態で書かれた遺言書は無効になるのですが、医師の診断書があってもそれだけで遺言書の無効を判断するのは難しいもの。
しかし遺言者が当時「認知症」又は「認知症気味」であった場合には遺言書が無効になる可能性があるので、「遺言無効確認の訴え」を起こし裁判で争うことになります。
偽造かどうかを見抜くためには筆跡鑑定が有効
遺言書が偽造かどうかを見抜くには、筆跡鑑定が有効です。もし、遺言書の文字などに違和感がある場合、筆跡鑑定などで偽造が立証できれば、家庭裁判所に対して遺言無効確認の調停を申請して、遺言書の執行をストップさせることができます。
では筆跡鑑定とはどのようなものなのかを見ていきましょう。
個人の筆跡特徴は変化しない
個々人が持つ筆跡の特徴は、基本的には年齢で変化しません。書字行為は身体の筋肉や神経を使って行われます。身体が成長段階にある若者の場合、身体の変化に伴った筆跡が変化することはありますが、特徴は残ります。また成長段階を過ぎた成人期以降では、筆跡の特徴は一定です。
ただし書道やペン字などを成人期以降から習い始めた場合や、何かしらの疾患で書字行為が上手くできなくなった場合は、筆跡特徴が変化する可能性はあります。
遺言書作成時期と対照とする資料作成時期は近い方が良い
個人の筆跡特徴は基本的に変化しないとは言うものの、何十年も経過すればやはり変化は少なからず発生します。
そのため遺言書を作成した時期と、近い時期に作成された資料を鑑定の対照として使用するのが好ましいですね。
対照となる資料は多い方が良い
遺言書を鑑定する場合、文字を比較する対照となる資料は多い方が有効です。遺言書に書かれている実際の文字を、同じ人物が書いたと思われる文字とを比較するためです。
鑑定対象となる遺言書の文字量を増やすことはできません。その分、比較対照となる資料はたくさんあった方が良いのですね。さらに文字の種類もたくさんあった方が、確実な筆跡鑑定を行えるでしょう。
遺言書の筆跡鑑定を依頼するには?
遺言書の筆跡鑑定は、探偵事務所に依頼をすることができます。民間の筆跡鑑定事務所や、筆跡鑑定を請け負うことを宣伝している探偵・更新事務所などに依頼をするといいでしょう。
ただし筆跡鑑定には特定の資格は必要とされていないため、鑑定人の実績やスキルによって結果に差が生じるのも事実です。筆跡鑑定を任せる業者を上手に選ぶポイントは、遺言書などの筆跡鑑定の実績が豊富にあるかどうかを、口コミや実績書で確認して、筆跡鑑定の実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。
遺言書の偽造を防ぐためには公正証書遺言が効果的
遺言書の偽造を防ぐためには、上記で紹介した公正証書遺言の作成が効果的です。
証人2名と公証人が立ち合い遺言書を作成し、作成された遺言書は公証役場に保管されるため、偽造されるリスクを大きく下げることができるでしょう。ただし100%ではありません。過去には他人が被相続人になりすまして、公正証書遺言を作ったケースもあります。
とは言うものの、多くの人が利用していると思われる自筆証書遺言と比べると、偽造される可能性は少なくなります。
遺言書の偽造トラブルまとめ
故人の意思を後継人に伝える大切な書面「遺言書」。
後継人達のトラブル防止という観点から非常に強い法的拘束力を持つこの書面ですが、それ故トラブルの原因になってしまう場合も。
本来一致団結をして財産を守るべき血族同士が争って、お金を目当てに騙し合いを起こすような遺言書の偽造トラブルはリアルに起きる現実的な問題です。
生前に「自筆証書遺言」よりも信憑性が高い「公正証書遺言」を作るよう勧めたり、日常的によくコミュニケーションを取って本人の考えを聞いておくことも偽装を見破る鍵になります。
故人の想いを尊重するためにも、正しい知識を持ち遺言書の偽造に対応していきましょう。
筆跡鑑定は探偵事務所に依頼をすることができます。無料相談を行っているところもあるので、気になったらまずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
この記事の著者:探偵社PIO 浮気・素行調査専門 Y.K
浮気・素行調査のプロフェッショナル。調査歴10年。
年間200件以上もの調査を行う。
探偵社PIO編集部監修
本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。