背任罪と詐欺罪の違いとは?業務上横領罪との違いにも触れながら解説

雇用契約は、雇用主と雇用される側の信頼関係によって成立します。しかし、自分や第三者の利益のため、目的のために委託された業務に背き、雇用主を裏切り会社に損害を与えると、刑法で定められている背任罪になります。一方、似たような罪に詐欺罪というものがあります。この二つ罪がどのような違いがあるのかをわかりやすく解説します。

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背任罪とはどのような犯罪か

背任罪とは信頼関係がある中で仕事をしている従業員が、自分だけでなく第三者の利益などの目的のために、会社などの相手を裏切って何かしらの損害を与えてしまう行為を背任罪と言います。基本的に引き受けた仕事は会社の思い通りにやらなければいけません。しかし、それを裏切って結果的に損害を与えてしまう罪になります。

背任罪に該当する人は雇用されている会社や雇用主のために仕事をしていることが求められます。詐欺は仕事をしていない場合でも罪が成立するケースがありますが、背任罪は必ず仕事をしている人が裏切る行為をするシチュエーションの条件が揃っていなければいけません。

背任の罪に問われやすいのが、事務仕事や経理の仕事をしている人です。その立場で仕事をしている人は自由に会社のお金を動せることもあり、会社と雇用主という信頼関係があれば、なおのこと仕事を任せられてお金の流れの管理がしやすい状況になる可能性があるのです。

必ず損害が発生することが条件

背任罪の基本となる考え方は、自分が会社などの利益を得るための目的があることが必要です。しかし、それだけでなく利益を得たことで会社などが損害を被ってしまうことで背任罪が成立します。会社などに恨みがあって損害を与えることだけが目的であっても、背任罪が成立する可能性があるため注意してください。

どの線引きで背任罪が成立するのか

背任罪と詐欺罪と業務上横領罪を混同している人がいますが、原則として会社や団体などの組織に大きな損害を与えてしまったら背任罪に問われると思ってください。そして与えられた仕事をきちんと遂行することなく、身勝手な理由で任務に背いた行為をしてしまうと背任罪に該当する可能性があります。


あえて私欲のために仕事内容を勝手に変更し、任務に背くような行為が結果的に起業や団体などの組織に大きな損害を与えてしまい、結果的に本人に背任罪が適用されて逮捕されてしまうケースもあります。

注意点として背任の意図が全くなければ罪が適用されないこともあり、どこからが背任罪として成立するか難しいところです。真面目に仕事をしている従業員が一度失敗して損害が発生しただけでは背任罪が成立しません。

ここの線引きが難しいのですが、一所懸命、真面目に仕事をしていれば仮に自分のミスで損害が出てしまっても背任罪に問われることはありません。安心して仕事に励んでください。

詐欺罪とはどのような犯罪か

最近では詐欺罪で逮捕される方のニュースも多いですが、詐欺罪は相手が思わず自分の財物を提供したくなるように意思を起こさせる詐欺行為をして、相手を信用させて錯覚・錯誤に陥らせて財物を交付されてしまうのが詐欺罪に該当します。

詐欺の定義も幅広く、飲食店での無銭飲食も詐欺に該当するケースがあります。社会通念上、食事の料金分のお金を持った状態で入店するのが一般的です。店主からしても、「料理を注文するお客様は支払い能力がある」という信用のもと、料理を提供しています。

食べ終わってからお金がないというのはお店を欺く行為とみなされ、詐欺罪が適用されることがあります。さらに最近では振り込め詐欺のような組織的で計画的な犯罪も多数起こっています。そのような行為が多くの人を欺き騙して多額の現金を奪ってしまうのが詐欺罪です。

手口が巧妙化してきている詐欺罪

最近では組織的犯罪も多く、様々な新手の手口が増えてきています。個人が起こす詐欺もあれば、複数の人物が関わっている詐欺事件もあります。騙された側は途中で気づくことなく、メリットがあると信じて自分のお金を支払ってしまうなどの被害に遭ってしまいます。

詐欺は最初から犯人が被害者を騙すつもりでいます。その結果、被害者が騙されてしまいます。ただ騙されただけでなく自分の財産を犯人や第三者に渡してしまうと詐欺罪が成立します。詐欺を犯す人は怪しいと思わせずに被害者を信じ込ませてしまいます。気が付いたときにはもう手遅れなのです。

詐欺罪の実例

会社や団体などの組織に所属し、与えられた仕事をしないで意図的に利益を得るための行為をした結果、会社に損害を与えてしまうのが背任罪に該当する行為です。しかし様々な場面で行われる詐欺罪は背任罪よりも種類がたくさんあり、巧妙な手口で被害者が騙されてしまう可能性があります。

近年、問題視されている振り込め詐欺やオレオレ詐欺に代表されるような、高齢者が簡単に騙されてしまう手口です。これは今の時代だけでなく、本質的には昔からよくある詐欺の手口です。危機意識が薄れている高齢者を狙った詐欺の被害がいつの時代も話題になるのです。この他にも今問題になっている給付金や還付金の還付詐欺や、生命保険や自動車保険などの保険金詐欺もあります。

人を欺くは絶対に許されない

背任罪は会社に大きな損害を与えてしまいます。詐欺は他人を騙して悲しい気持ちにさせるだけでなく財産を奪い取ってしまう行為です。必ず被害者がいるので人を欺く行為は絶対に許されるものではありません。

被害に遭ったら加害者が刑罰を受けることになります。背任罪は、有罪判決がくだると5年以下の懲役か50万円以下の罰金になります。また、詐欺罪は10年以下の懲役となるのです。詐欺罪は被害額が大きければ刑期が長くなると言われています。また初犯と2回目以降の累犯で刑期が変わってきます。なお、公訴時効はそれぞれ5年、および7年です。

背任よりも詐欺のほうが何度も繰り返される可能性が高いともいえます。一度刑に服しても再び詐欺行為に手を染める人もいます。それほど様々な方法があり、巧妙な手口で被害者を騙すのです。

法的対応と防御策とは

被害者の法的対応

背任罪や詐欺罪の被害に遭った場合、被害者には迅速な法的対応が求められます。

刑事告訴と損害賠償請求

まず、被害を受けた場合は速やかに警察に刑事告訴を行い、捜査してもらうことが重要です。加えて、民事訴訟による損害賠償請求も検討すべきでしょう。被害額や加害者の資力などを勘案し、最適な法的手段を選択する必要があります。刑事告訴では、背任罪や詐欺罪の成立要件を十分に立証する必要があり、証拠の収集が鍵となります。一方、民事訴訟では、被害額の立証と加害者への損害賠償請求が重要となります。もちろん損害賠償請求を行うには法的知識が必要です。弁護士に依頼するようにしましょう。

証拠の収集と保全

背任罪や詐欺罪の立証には、文書や証言などの証拠が不可欠です。被害発覚後は速やかに証拠の収集と保全に取り組み、警察への協力も惜しまないようにしましょう。証拠の保全には、書類の複写や録音・録画の記録など、様々な手段が考えられます。また、証人の記憶を確実に留めるため、早期に事情聴取を行うことも重要です。

被害状況の把握と被害届の提出

被害の全容を正確に把握し、警察に対して詳細な被害届を提出することも重要です。被害状況を正確に伝えることが捜査に協力することにつながり、適切な法的措置となります。被害届には、被害の事実経過や金額、わかる範囲で加害者の特定情報など、可能な限り詳細な内容を記載しましょう。

被害に遭った際の対処方法

被害に遭遇した場合は、被害の拡大を防ぐとともに、被害回復に向けた迅速な対応が求められます。

被害の早期発見と被害拡大の防止

背任罪や詐欺罪の被害に遭遇した場合は、速やかに被害の発覚と拡大を防ぐ必要があります。不審な動きや不正な経理処理などに早期に気づき、被害の深刻化を未然に防ぐことが重要です。たとえば、定期的な内部監査の実施や、不審な取引の監視など、組織としての監視体制を強化することが効果的です。

警察への報告と協力

被害を発見した場合は、速やかに警察などの関係当局に報告し、捜査に協力しましょう。被害の早期解決には、被害者側の積極的な協力が不可欠です。警察への情報提供や、必要に応じた証拠の提出など、全面的な協力姿勢が求められます。

自身の権利の主張と被害回復

被害に遭遇した際は自身の権利を主張し、被害回復に向けて粘り強く対応することが重要です。警察への捜査協力や民事訴訟の提起など、状況に応じた法的対応を検討しましょう。被害者が自らの権利を主張することで、加害者への制裁や、被害の回復につながります。場合によっては、弁護士など専門家の助言を得ながら、被害回復のための最適な方策を検討することも重要です。

身を守るための予防方法

背任罪や詐欺罪のリスクを認識し、適切な予防策を講じることが被害の未然防止につながります。

背任罪と詐欺罪のリスク認識

まず、背任罪と詐欺罪の定義や成立要件、被害の実態などを正しく理解し、自組織におけるリスクを把握する必要があります。経営者や管理職は特に注意を払うべきです。背任罪は自己の地位や権限を利用して他人の財産上の利益を侵害する罪で、詐欺罪は不実の陳述により他人の財産上の利益を侵害する罪です。両罪の違いを理解し、自組織のリスクを適切に管理することが肝要です。

内部統制とコンプライアンス体制の整備

組織内の内部統制とコンプライアンス体制を適切に整備し、そもそも不正が起こりづらい組織づくりが重要です。権限や意思決定プロセスの明確化、経理管理の徹底など、具体的な対策を講じましょう。たとえば、複数の承認者による決裁プロセスの設定や、外部監査の導入など、牽制と監視の仕組みを構築することが効果的です。

従業員教育と通報制度の構築

従業員に対する教育プログラムを通じて、背任罪や詐欺罪の予防に関する意識を高めることも重要です。単なる法的知識の習得だけでなく、倫理観の醸成や、組織への帰属意識の向上にも取り組む必要があります。加えて、内部通報制度の整備により、不正行為の早期発見と未然防止につなげることができます。

また、日本では横並び一辺倒な雰囲気の組織もあります。このような組織では、集団で不正行為を行われると、加担している多くの人が事実を隠蔽しようとすることがあります。そのため、横並び一辺倒ではなく、個人の意見を言いやすくする組織づくりも重要になります。

詐欺的手口への注意喚起

近年、巧妙化する詐欺的手口にも注意を払う必要があります。組織内で情報共有を行い、従業員の注意喚起を図ることで、被害の未然防止につなげましょう。たとえば、不審メールの見分け方やウイルス感染への対応など、具体的な対策をあらかじめ周知しておくことが重要です。

加害者に対する法的防御策

加害者側にも、適切な法的防御策を講じることが求められます。

故意性や重大性の立証

背任罪や詐欺罪の成立には、行為者の故意や違法性の程度が重要です。弁護人は、故意性の不存在や違法性の軽微さを立証することで、量刑の軽減を図れます。たとえば、行為者の認識や動機に関する証拠を提示し、故意犯ではないことを主張するなどの対応が考えられます。

量刑の軽減要因の主張

加えて行為者の年齢、犯行動機、更生可能性など、量刑を軽減する事情を積極的に主張することも重要です。これらの事情を考慮して量刑を決定するよう、裁判所に訴えかける必要があるのです。背任罪と詐欺罪では法定刑に大きな差があるため、具体的な主張が重要となります。

量刑に関する弁護

背任罪と詐欺罪の量刑には大きな差異があるため、適切な法的対応と弁護活動が必要となります。量刑の決定過程において、最適な法的主張を行うことで、より有利な判断を引き出せます。法定刑の上限が異なることから、罪名の成立要件をめぐる争点が重要となります。

まとめ

背任罪も詐欺罪も人を欺く行為で絶対に許されるものではありません。背任でも詐欺でも必ず被害者がいて損害を被ってしまいます。いずれにしても被害に遭わないよう、細心の注意をしなければなりません。

組織の側では、権限管理やコンプライアンス体制の強化など、内部統制の整備が重要です。一方、個人としても自らの業務上の注意義務を果たし、利益相反行為の回避に努める必要があります。そして何より、不審な兆候には敏感に反応し、上司や関係部門に報告することが何よりも大切です。

被害に遭った場合は、早期発見と事態収束、関係当局への通報と協力、自己の権利主張など、迅速な対応が求められます。個人と組織が連携してリスクへの対策を講じ、被害発生時にも適切に対応することで、背任罪や詐欺罪のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

組織の健全性を守るためにも、一人ひとりがこの問題に対する意識を高め、適切な行動を取ることが重要です。

専門家監修

この記事の著者:探偵社PIO 人事/労務信用調査担当 K.A

社員の不正、登用人事でのバックグラウンド調査や採用調査など人事労務に拘る調査を長年行う。

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本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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