社内におけるパワハラ防止対策方法【元弁護士が解説#7】

近年「パワハラ」への対応が非常に厳しくなってきています。先日も「パワハラ対策法」が制定され、各企業にパワハラ防止のための具体的な対応が求められている状況です。

社内のパワハラを放置していると、企業側に責任を問われるリスクもあるのでくれぐれも注意しましょう。

今回は「パワハラとは何か」「社内でパワハラを防止するにはどうしたら良いのか」「パワハラ対策法が企業へ求める内容」について解説します。

パワハラはすべての企業に関係する問題ですので、経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

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パワハラとは

パワハラは「パワーハラスメント」の略語です。職場におけるパワハラについては、厚生労働省が定義を行い6類型にまとめています。まずはパワハラの基本的な内容を確認しましょう。

パワハラとは

職場におけるパワハラとは、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景として、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり職場環境を悪化させたりする行為です。

重要なのは以下の4点です。

  • 優位性を背景とする

パワハラは、何らかの「優位性」を背景とします。たとえば「上司部下の関係」「人間関係」などです。必ずしも上司から部下に対するものに限らず、同僚同士や部下から上司へのパワハラもありえます。

  • 業務の適正な範囲を超える

パワハラといえるには「業務の適正な範囲を超える」ことが必要です。業務の範囲内での「正当な指示」であれば、パワハラになりません。

  • 苦痛を与える

相手に肉体的精神的苦痛を与えるとパワハラになる可能性があります。

  • 職場環境を悪化させる

肉体的精神的苦痛を与えなくても、相手の職場環境を悪化させるとパワハラになる可能性があります。

パワハラの6類型

厚生労働省は、パワハラを以下の6類型に分類しています。

身体的な攻撃

胸ぐらをつかむ、殴るなどの身体に対する直接的な暴力です。

精神的な攻撃

「お前はだめなやつだ」「給料泥棒」などとなじったり他の社員のいる前で侮辱したりして、精神的な攻撃を加えることです。

仲間はずれ

チームプロジェクトなのに1人にだけ連絡を伝えない、無視する、1人だけ別室で仕事をさせるなど、仲間はずれにするとパワハラになります。

過大な要求

新人に大量の仕事をおしつけたり、その人のスキルに見合わない困難な業務を命じたりして、過大な要求をするとパワハラになります。

過小な要求

能力が高く本人としても高度な仕事を望んでいるのにひたすらお茶くみやコピーをさせるなど、過小な業務しか与えない場合にもパワハラとなります。

個の侵害

家族関係や出身地、結婚出産などプライベートに過度に介入するとパワハラになる可能性があります。

パワハラ対策法とは

近年「パワハラ防止法」とよばれる法律が制定されました。正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(略称「労働施策総合推進法」)です。かつては「雇用対策法」という法律でしたが、2019年5月に改正されてパワハラ防止策が義務づけられたため、通称「パワハラ防止法」といわれるようになりました。

パワハラ防止法で求められること

パワハラ防止法では、企業に対し以下のような施策を求めています。

  • 社内におけるパワハラ防止方針明確化、周知の徹底

まずは各企業において、パワハラを防止するための方針を策定しなければなりません。

その上で社内に明確に示し、従業員や役員へ周知徹底する必要があります。経営者が自ら「パワハラは許さない」という態度を表明し、社内報や社内メール、HPなどで共有しましょう。

  • パワハラ相談体制の構築

社内でパワハラが発生したときに備えて、相談体制を構築しなければなりません。

従業員が気軽に利用できる社内の相談窓口を設置しましょう。

  • パワハラが発生したときの適切な対応

パワハラ相談を受けたときには、適切な対応を要求されます。客観的に調査を進め、パワハラがあったかどうかを確認しましょう。そのうえで、パワハラが起こったのであれば加害者に適切な処分を行います。被害者への配慮も怠ってはなりません。

  • 再発防止措置

パワハラが発生したときには、再発を防止する措置が必要です。原因に応じた対応をしましょう。調査の結果、実際にはパワハラが発生していなかったことが確認された場合にも、なぜそういった被害申告が行われたのかを検討し、同じような問題が起こらないよう対処する必要があります。

  • プライバシーへの配慮

パワハラ相談を受けたり調査を進めたりするとき、相談者や協力者のプライバシーへの配慮が重要です。相談や調査協力したために、異動や降格などの不利益な取扱いを受けないようにしなければなりません。

「パワハラ相談や調査への協力をしても特に不利益はない」ことを社内に周知させ、気軽に相談・協力できる雰囲気作りをしましょう。

パワハラ防止法が施行される時期

パワハラ防止法が施行される時期は、大企業と中小企業で異なります。

大企業に関しては2020年6月1日、既に施行済です。

中小企業に関しては2022年4月1日に施行される予定となっています。

ただ「中小企業の場合には施行日まで対策しなくて良い」というわけではありません。パワハラ防止法が適用されなくても、社内のパワハラを放置していると企業にとってのリスクが高くなるので、注意しましょう。

パワハラ防止法に罰則はない

パワハラ防止法は、企業にパワハラ対策を求めていますが罰則を用意していません。

今後改正によって追加される可能性はありますが、現時点では違反しても処罰される可能性はありません。

パワハラを放置するリスク

企業が社内でパワハラ対策を行わず放置していたら、どういったリスクが発生するのでしょうか?

モチベーション低下、生産性低下

企業内でパワハラが起こっているのに対策をしなければ、従業員たちのモチベーションが大きく下がってしまうでしょう。「この会社ではパワハラが横行しているのが通常なのだ」と思い、やる気をなくしてしまうからです。

結果として企業全体の生産性が下がり、業績悪化へとつながっていきます。

離職

社内でパワハラが横行すると、被害者だけではなく周囲の従業員も離職する可能性が高まります。優秀な人材は引く手あまたですから、パワハラが日常茶飯事となっている企業に固執する必要はありません。

パワハラを放置していると、離職を招いて企業の競争力を大きく低下させてしまうリスクが発生します。

被害者からの損害賠償請求

企業は従業員に対し「職場環境配慮義務」を負います。職場環境配慮義務とは、雇用契約にもとづいて企業が従業員へ適切な職場環境を提供しなければならない義務です。

パワハラが起こっているのに放置していると、職場環境配慮義務を果たしたことにならないので、契約違反となってしまう可能性があります。

職場環境配慮義務は、パワハラ防止法がまだ適用されない中小企業にも課されるので、注意しましょう。違反すると、パワハラ被害を受けた従業員から損害賠償請求される可能性があります。労働トラブルに巻き込まれてしまいますし、うつ病の治療費や休業損害、慰謝料などを支払わねばならないリスクが発生します。

社会的な信用、企業イメージの低下

社内でパワハラが横行すると、企業の信用低下を引き起こします。

今の時代はネットですぐにネガティブ情報が拡散されるのでなおさら危険です。たとえば従業員がネット掲示板やブログ、SNSなどに「〇〇社はブラック企業で~のようなパワハラを受けた」などと投稿するケースもあるでしょう。

信用やイメージが低下すると、売上げの減少にもつながります。新入社員を募集しても良い人材を集めにくくなるでしょう。

企業がパワハラを放置していると、重大なリスクが発生します。必ず予防策をめぐらし、万一パワハラが発生した場合にはすぐに解決のための方策を打ち出しましょう。

パワハラ予防策

パワハラを予防するには、以下のような対応が役立ちます。

社内へ周知

まずはどういった行動がパワハラに該当するのか従業員に知らせましょう。その上で「法律で禁止されること」「パワハラ行為をすると懲戒などのリスクがあること」を知らせ、社内全体の意識を高めることが大切です。

アンケートの実施

定期的に社員から匿名で回答できるアンケートを採り、社内でパワハラが起こっていないか調査しましょう。問題があれば改善策をとってください。

定期的な面談

上司と部下の個別面談を数か月に1回行いましょう。評価面談の際にパワハラを受けていないかさりげなく確認する方法でもかまいません。

相談体制の確立

実際にパワハラを受けている従業員が気軽に相談できるように、社内の相談体制を確立しましょう。窓口を利用してもプライバシーが害されたり不利益な取扱いを受けたりしないことを周知し、従業員が利用しやすいよう環境を作る努力も必要です。

パワハラが起こったときの対処方法

パワハラが発生したら、以下のように対応してください。

プライバシーに配慮した調査

まずは実態把握が必要です。被害者や加害者、関係者のプライバシーに配慮しつつ、聞き取りや資料の確認などの調査を進めましょう。

被害者への配慮

実態が明らかになったら、結果によって被害者へ配慮した対応を行ってください。加害者と勤務場所を分けるなど、状況に応じた措置をとりましょう。

加害者への措置

加害者へも対応が必要です。必要に応じて懲戒処分を適用し、あるいは異動や転勤、配置転換などを実施しましょう。ただし実際に行った行動に対する処分が重すぎると、加害者から「懲戒処分の無効」を主張されたり「慰謝料」を請求されたりするおそれもあるので、バランスが重要です。

再発防止措置について

社内でパワハラ騒動が起こったら、解決後の再発措置も重要です。

今回の件を社内に周知して(ただし人名は匿名とするのがよいでしょう)、あらためて従業員全体にパワハラ行動をしないよう求めましょう。加害者本人を解雇しない場合、継続的に観察をしながら個別研修も実施すると良いでしょう。

また自社内で管理職を登用する際には「仕事ができるかどうか」だけではなく、部下との円滑なコミュニケーション能力やの配慮できる能力を条件とすると、パワハラの再発を防ぎやすくなります。

まとめ

現代日本社会では、大企業だけではなく中小企業にもパワハラ対策が求められます。今回の記事を参考に、健全な会社経営を目指しましょう。

執筆者プロフィール

福谷陽子
法律ライター 元弁護士
弁護士としての経験は約10年。その経験をもとに、ライターへ転身後は法律や不動産関係の記事を積極的に執筆している。
弁護士時代は中小企業の顧問業、離婚や不倫など男女関係案件の取扱いが多く、浮気調査や探偵事務所の実情にも詳しい。
記事の作成だけではなく、編集やサイト設計、ディレクションやウェブコンテンツを利用したマーケティングのアドバイスなど、活動の幅を広げている。

運営サイト(元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog)
https://legalharuka.com/433

運営youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC-vYz7An9GHWXsXjWKbmRdw

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本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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