盗撮は刑事事件になる?処罰される根拠となる法律や法律事務所による問題解決の流れを解説
盗撮は犯罪行為です。盗撮をした場合どのような法律で処罰されるのか、逮捕された後には、どのような流れで裁判となるのかについて解説します。
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目次
盗撮とはどのような罪か
盗撮とは、他人のプライバシーを無断で侵害し、隠し撮りを行う行為を指します。この行為は、公衆の面前や私的な空間で行われることが多く、特に性的な目的で他人の姿を撮影するケースが一般的です。
しかし、盗撮の範囲はこれに限らず、個人の許可なく映像や画像を取得する行為全般が含まれます。具体的には、電車やエスカレーターなどの公共の場での盗撮、トイレや更衣室といったプライベートな空間での盗撮が該当します。
盗撮は、被写体のプライバシーを著しく侵害し、精神的な苦痛を与えるため、各地で厳しく取り締まりされています。盗撮行為は性的姿態撮影等処罰法や迷惑防止条例によって規制されており、発覚した場合には厳しい罰則が科されることがあります。
性的姿態撮影等処罰法(撮影罪)
性的姿態撮影等処罰法は2023年に成立し、同年内に施行された新しい法律です。この法律は、盗撮などの性的姿態等の撮影行為を「撮影罪」として厳罰化することを目的としています。
主な特徴は以下の通りです。
- 撮影罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となり、従来の迷惑防止条例の刑罰よりも厳しくなりました。
- 撮影罪の時効は3年です。しかし、撮影した画像をインターネットなどで拡散する行為があった場合は、「送信罪」にも該当します。送信罪の時効は5年です。
- 撮影行為だけでなく、撮影された画像の提供、保管、ライブストリーミング配信、配信された映像の記録なども、「提供罪」として処罰対象となります。
- 撮影罪の未遂も処罰対象となります。
- 裁判所が撮影データのコピーを没収できるようになりました。
この法律により、電車内でのスカート内盗撮や同意なしの性行為の撮影など、様々な状況での不適切な撮影行為が、全国的に厳しく取り締まりされることになります。
迷惑防止条例
迷惑防止条例における盗撮規制は、各都道府県で定められており、公共の場所での不適切な撮影行為を取り締まることを目的としています。
主な特徴は以下の通りです。
- 対象となる行為は、人の下着や身体を隠し撮りすることや、そのような目的でカメラを向けたり設置したりすることです。
- 撮影場所は、公共の場所や乗物、学校、更衣室、浴場などが含まれます。
- 法定刑は、各都道府県によって異なりますが、例えば東京都では1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
- 着衣の上からの撮影でも、胸の一部や臀部を中心に撮るなど撮影態様によっては「卑わいな言動」として処罰される場合があります。
- 実際に撮影が行われていなくても、カメラを向けるだけで条例違反となる可能性があります。
迷惑防止条例は、2023年に施行された性的姿態撮影等処罰法以前は、盗撮行為を取り締まる主な法的根拠でした。
盗撮での逮捕ケース
盗撮での逮捕ケースは、現行犯逮捕と通常逮捕のほか、逮捕せずに捜査が行われる在宅事件があります。
現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、盗撮を行っている最中または直後の犯人を、逮捕状なしで逮捕できる制度です。
- 誰でも逮捕可能
警察官だけでなく、一般市民も現行犯人を逮捕できます。 - 対象者
現に罪を行っている者、罪を行い終わった直後の者、および準現行犯人が対象となります。 - 令状主義の例外
犯人であることが明白で、誤認逮捕のおそれが少ないため認められています。 - 私人による逮捕
一般市民が逮捕した場合、直ちに警察等に引き渡す必要があります。 - 軽微な罪の制限
軽犯罪の場合、一定の条件下でのみ現行犯逮捕が可能です。
通常逮捕
通常逮捕とは、裁判官が発行した逮捕状に基づいて行われる逮捕の形態です。実際に盗撮をした様子が防犯カメラなどに残っており、後日逮捕となるケースです。
- 令状主義に基づく逮捕で、逮捕状が必須です。
- 検察官や司法警察職員が裁判官に逮捕状を請求します。
- 逮捕の理由と必要性が要件となります。
- 逮捕の理由とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足る、相当な理由を指します。
- 逮捕の必要性とは、被疑者の逃亡や罪証隠滅のおそれがあることを意味します。
- 裁判官は、逮捕の必要性がないと判断した場合、逮捕状の請求を却下します。
通常逮捕は、令状による逮捕の原則を体現する最も一般的な逮捕形態です。
在宅事件
在宅事件とは、被疑者が身柄を拘束されずに捜査が進められる刑事事件のことです。
- 被疑者は逮捕・勾留されず、自宅で生活しながら捜査に応じます。
- 比較的軽微な犯罪や、証拠隠滅・逃亡のおそれが低い場合に適用されます。
- 被疑者の社会生活への影響を最小限に抑えられます。
- 捜査期間が長期化する傾向があります。
- 不起訴処分を目指すため、弁護士と相談し、示談交渉などの対応が重要です。
- 起訴の可能性もあります。
在宅事件では、慎重な対応が求められます。
逮捕後の流れ
盗撮などの刑事事件における逮捕から判決までの一般的な流れは以下の通りです。
- 逮捕
犯罪の嫌疑がある者を警察官が身柄拘束します。逮捕後、被疑者は警察署の留置所に留置されます。 - 送検
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を検察庁に送致します。これを「送検」と呼びます。検察官は、送検された被疑者を取り調べます。 - 勾留
検察官は送検から24時間以内に、裁判所に勾留を請求するかどうかを決定します。勾留請求された場合、裁判官が勾留質問を行い、勾留するかどうかを判断します。勾留が決定されると、被疑者は最長10日間拘束されます(延長により最大20日間)。この間、通常は家族や友人と面会できますが、容疑を否認している場合は、接見禁止となる場合があります。 - 起訴
勾留期間中、検察官は証拠を収集し、起訴するかどうかを決定します。起訴する場合、公判請求または略式命令請求を行います。起訴しない場合は不起訴処分となり、被疑者は釈放されます。 - 公判前整理手続
裁判の争点や証拠の整理を行います。この手続きは必須ではありませんが、複雑な事件では行われることが多いです。 - 公判
裁判所で審理が行われます。検察側と弁護側が主張・立証を行い、証人尋問や被告人質問が実施されます。 - 判決
すべての審理が終了すると、裁判官が判決を言い渡します。有罪の場合は刑が言い渡され、無罪の場合は被告人は釈放されます。
この流れの中で、以下の点に注意が必要です。
- 逮捕されても必ずしも起訴されるわけではありません。送検後や勾留中に釈放されることもあります。
- 勾留中でも、示談が成立したり身元引受人が見つかったりすれば、釈放される可能性があります。
- 弁護人は、被疑者・被告人の権利を守るため、逮捕直後から関与することができます。接見や証拠開示請求、保釈請求などを行います。
- 起訴後も、保釈により身柄拘束から解放される可能性があります。
- 判決に不服がある場合、控訴・上告することができます。
- 起訴され有罪となった場合、前科がつきます。
刑事手続は被疑者・被告人の人権に大きく関わるため、各段階で厳格な要件や時間制限が設けられています。また、「人質司法」と呼ばれる長期勾留の問題も指摘されており、冤罪防止の観点からも注目されています。
このように、逮捕から判決までの流れは複雑で、各段階で専門的な判断が必要です。そのため、刑事事件に直面した場合は、法律事務所への相談や弁護士の依頼を早期にする必要があります。
自首と出頭
盗撮が、被害者や第三者に発覚した場合の選択肢として、自首と出頭があります。自首と出頭には以下のような違いがあります。
自首
自首は、犯人が捜査機関に発覚する前に自ら罪を申告することです。犯罪自体が発覚していないか、犯罪は発覚しているが、犯人は特定されていない段階が含まれます。
刑事処分への影響
自首をすることで、刑法第42条1項に基づき、刑が減軽される可能性があります。
要件
自首では、犯罪事実の申告と自白が必要です。
出頭
出頭は、捜査機関や裁判所に自ら出向くことを指します。捜査機関である警察がすでに犯人を特定しているケースでは、出頭の扱いとなります。
刑事処分への影響
出頭には、法律上の減刑規定はありませんが、情状酌量により刑が軽くなる可能性があります。
要件
出頭は、単に警察署等に出向くことを指し、自白は必須ではありません。
自首と出頭のどちらが適切かは、状況によって異なります。刑事事件に直面した場合は、弁護士に相談することで適切な対応を検討できます。
示談交渉
盗撮事件の示談交渉を弁護士に依頼する場合、そのプロセスとメリットについて以下に解説します。
示談交渉のプロセス
- 弁護士への依頼
まず、盗撮事件に関して弁護士に相談し、示談交渉の依頼を行います。弁護士は事件の詳細を確認し、示談の可能性を判断します。 - 被害者の連絡先の取得
弁護士は警察や検察を通じて被害者の連絡先を取得します。これは被害者のプライバシーを守りつつ、適切な手続きを踏むためです。 - 示談交渉の開始
弁護士は被害者と連絡を取り、示談交渉を開始します。被害者の感情に配慮しながら、適切な示談金額を提示し、交渉を進めます。 - 示談書の作成
示談が成立した場合、弁護士は示談書を作成します。この示談書には、示談金の支払い条件や被害者の告訴取り下げの意思などが記載されます。 - 示談金の支払い
示談書に基づき、加害者は示談金を支払います。これにより、被害者の被害感情が緩和され、事件の解決に向けた一歩となります。
弁護士に依頼するメリット
- 専門知識と経験
弁護士は法律の専門知識と示談交渉の経験を持っており、適切な示談金額の設定や交渉の進め方を熟知しています。これにより、示談交渉がスムーズに進みます。 - 被害者の感情に配慮
被害者との直接の交渉は、加害者にとって難しい場合があります。弁護士が間に入ることで、被害者の感情に配慮しつつ、冷静に交渉を進めることができます。 - 不起訴や刑の軽減の可能性
示談が成立すると、捜査段階であれば不起訴処分となる可能性が高まり、公判段階であれば執行猶予判決が下される可能性が上がります。これにより、加害者の社会生活への影響を最小限に抑えることができます。 - 迅速かつ確実な解決
弁護士は迅速に示談交渉を進めることができ、長引く交渉を避けることができます。また、示談金の額や条件についても適切に調整することで、確実な解決を図ります。
示談交渉の具体例
例えば、盗撮事件で200万円の示談金を請求されたケースでは、弁護士が交渉を行い、最終的に50万円で示談が成立した事例があります。このように、弁護士の介入により、示談金の減額や迅速な解決が実現することがあります。
盗撮事件の示談交渉は、被害者の感情に配慮しつつ、適切な示談金額を設定し、迅速かつ確実に解決することが求められます。弁護士に依頼することで、専門知識と経験を活かし、被害者との交渉を円滑に進めることができます。示談が成立すれば、不起訴や刑の軽減の可能性が高まり、加害者の社会生活への影響を最小限に抑えることができます。
盗撮にはならないケース
本人の許可を得ない撮影である盗撮は犯罪となり、法律や条例によって厳しく処罰されます。そのため、通常はどのような理由があったとしても盗撮は許されません。
しかし、一部盗撮とはならないケースがあります。
盗撮とはならないケースとは
本人の許可を得ずに撮影することが、盗撮とならないケースとして、探偵業法の届出をしている探偵による撮影が挙げられます。
探偵は届出など、合法となる条件を満たした状態で撮影をしています。そのため一般の人が探偵同様の尾行や撮影をした場合は違法になる可能性がありますが、正式な届出をした探偵であれば合法となります。
探偵の撮影が盗撮に該当しないケース
探偵は、探偵業の業務の適正化に関する法律(通称:探偵業法)の定めに従って、届出を行います。探偵が適正な業務の範囲内で撮影する場合は、合法的な行為となり盗撮には該当しません。具体的な盗撮に該当しないケースとして、以下のような場合が挙げられます。
- 正当な業務目的がある
探偵が依頼者からの正当な調査依頼に基づいて撮影を行う場合、業務上の必要性が認められます。例えば、不倫調査や浮気調査、ストーカー被害の証拠収集などが該当します。 - 公共の場所での撮影
路上や公園など、誰でも自由に立ち入れる公共の場所で、衣服を身に着けた状態の撮影は、撮影罪や迷惑防止条例違反とはならないため、探偵は証拠写真の撮影が可能です。 - 違法性阻却事由がある
犯罪行為の証拠収集など、社会的に正当な理由がある場合は、違法性が阻却される可能性があります。ただし、この判断は慎重に行う必要があります。 - プライバシーを侵害しない
撮影が対象者のプライバシーを著しく侵害しない範囲で行われる必要があります。例えば、公共の場所での全身撮影は許容される可能性が高いです。 - 撮影方法が適切
撮影には、通常のカメラ、ドライブレコーダー、防犯カメラなどが使用されます。小型の隠しカメラは、設置場所として、依頼人の所有する車や自宅を利用するケースであれば使用が可能です。 - 撮影した画像の適切な管理
撮影した画像は依頼者以外の第三者に見せたり、インターネット上に公開したりしないなど、適切に管理します。 - 法令遵守
各地域の条例や関連法規を遵守することが重要です。探偵業法や個人情報保護法などの関連法規に従って業務を行う必要があります。 - 職業倫理の遵守
探偵協会などの業界団体が定める倫理規定を遵守し、適切な調査手法を用いることが求められます。 - 撮影の必要性と相当性
撮影が調査目的を達成するために必要不可欠であり、その手段が相当であると認められる必要があります。過度な撮影や不必要な撮影は避けるべきです。
探偵でも盗撮と判断されるケース
探偵であっても、以下のようなケースでは盗撮と判断される可能性が高くなります。
- プライバシーの侵害
私的空間(自宅、ホテル客室など)を望遠レンズで撮影したり、公衆トイレや更衣室などの非公開空間を撮影する行為は、プライバシーの侵害として盗撮と判断される可能性が高いです。 - 不適切な撮影対象
特定の身体部位(下着や胸部など)を狙って撮影する行為は、たとえ公共の場であっても盗撮とみなされる可能性があります。 - 依頼者以外の所有物へのカメラ設置
依頼者以外の人物が所有する家や車などへ、隠しカメラや小型カメラを設置して秘密裏に撮影を行う行為は、盗撮と判断される可能性が高くなります。 - 撮影目的の逸脱
依頼内容と関係のない撮影や、過度に詳細な撮影を行う場合、盗撮と判断される可能性があります。 - 法令違反
各地域の条例や関連法規に違反する撮影行為は、盗撮として扱われる可能性があります。
探偵であっても、これらの行為は法的・倫理的に問題があり、盗撮罪に問われる可能性があります。適切な調査方法を選択し、対象者のプライバシーを尊重することが重要です。
まとめ
今回は、盗撮が犯罪行為となる理由と、犯罪が発覚した後の流れについて紹介しました。現在は、スマートフォンの普及により盗撮が増加傾向にあることや、インターネット上のSNSなどのプラットフォームを利用した画像の拡散などが問題となっています。そのため、以前よりも法整備が進められ、迷惑防止条例よりも厳しい、性的姿態撮影等処罰法も施行されました。
どうしても調べたいことがある、浮気の証拠を掴みたいなどの理由で、自力での尾行や盗撮を検討されることもあるかもしれません。しかし、一般の方の撮影は違法になる可能性が高くおすすめできません。
調査や証拠写真の撮影は、探偵事務所にご依頼ください。
PIO探偵事務所は全国24地域で弁護士協同組合特約店の探偵興信所としての実績を持ちます。ベテラン探偵が多数在籍しており、年間12,000件の探偵業務を行っています。ご相談お見積りは無料です。不安やお悩みはメールやお電話でも承ります。ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の著者:探偵社PIO 調査員 Y.K
調査歴10年。
年間200件以上もの調査を行う。
関連タグ: 盗撮
探偵社PIO編集部監修
本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。