養育費を払わない場合のペナルティ|離婚後の請求方法を解説
離婚前に養育費の金額や期日を約束していたのに、離婚すると払わない男性がいます。「法務省養育費不払い解消に向けた検討会議」によると、母子家庭のうち養育費の合意を得ている家庭の割合は42.8%。
これに対し、養育費をもらっている母子家庭の割合は24.3%です。この結果から、元配偶者からの養育費を受け取れていない母子家庭が多いことがわかります。
本記事では、離婚した元配偶者が養育費を支払わない場合のペナルティについて紹介します。夫の不貞行為やDVを理由に離婚を検討している方は、本記事を参考にしてください。
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目次
親には養育費を支払う義務がある
離婚の際は親権の有無を問わず、夫婦のうち子どもを引き取っていない親が子どもと一緒に暮らしている親に養育費を支払う義務が発生します。
ただ、離婚前の取り決めによって養育費の金額や支払いの条件は異なります。詳しく見ていきましょう。
養育費の金額
養育費の金額は法律上の決まりがないため、各家庭で話し合いが必要です。もし話し合いが決裂し、金額が決まらない場合は、調停や審判を経て家庭裁判所に決定を託します。
元夫やあなたの収入、子どもの年齢、子どもの人数などによって、算定される養育費の金額は異なるでしょう。
東京裁判所が公開している「養育費算定表」では、仮に以下の条件だった場合、月に支払われる養育費は6~8万円です。
●元夫:会社勤め/年収約600万円
●あなた:会社勤め/年収約300万円
●子ども:1人/10歳
養育費を支払う期間
養育費を支払う期間は、「何歳まで」という決まりはありませんが、一般的な期間の目安は20歳までです。
養育費は子どもが自立できるまで、生活を助けるために支払われるもの。成人の年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、子どもが経済的に自立していない場合は、子どもが20歳になるまで養育費の支払いを続けるケースが多いでしょう。
ただ、20歳はあくまでも目安です。養育費の支払期間は、夫婦の話し合いで自由に設定できます。
養育費を払わない場合のペナルティ
2020年4月、民事法改正によりペナルティを課すことが可能になりました。
離婚や別居した親が養育費の支払いに応じない場合は、資産や給与から差し押さえが可能です。また、養育費自体の刑事罰は存在しませんが、養育費を支払えない理由として財産を偽った場合は、刑事罰を科すことができます。
詳しく見てみましょう。
差し押さえが可能
離婚した元配偶者が養育費を払わない場合は、裁判所に申し立てれば財産の差し押さえが強制執行されます。
差し押さえが可能な財産は以下のとおりです。
●不動産:土地・建物など
●資産:家具・家電など
●現金:預金・給与など
債務者の給与は差し押さえ可能です。民事執行法により給与は半分まで差し押さえられます。
また、不動産や給与、預金は、財産の情報を開示できます。
養育費として給与から回収する場合は、勤務先情報も取得可能です。その場合、元夫による養育費が未払いになっている事実が勤務先に知られるため、元夫の社会的信用も損なわれる可能性があります。
財産を偽った際の罰則
養育費に関する刑事罰は存在しないため、罰則は与えられません。
しかし、離婚した元夫が財産を偽り養育費の支払いに応じない場合は、刑事罰として「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」を課せられます。その際は債務名義を問わず、財産開示の申し立てが可能です。
離婚した元夫が養育費を払わない理由
元夫が養育費の支払いを拒否する理由はどのようなものがあるでしょうか。
たとえば収入が少ないため、生活が苦しく養育費にお金をまわせないケースや、自己破産などが考えられます。なかには離婚後の生活を優先したいという身勝手な理由を掲げる人もいるでしょう。詳しく紹介します。
収入が少ない
養育費は子どもと別々に暮らす親が支払うべきものです。しかし、なかには養育費を払いたくても払えない状況の人がいます。たとえば、職が不安定で一定の収入が見込めない人や、勤務先の業績不振などの理由があるでしょう。病気を患い働けなくなることも考えられます。
相手の収入事情により養育費が払えない場合は、支払い義務が生じた親から養育費の減額を求められる可能性があります。定められた金額をもらえないのは不満かもしれませんが、相手から減額の相談があったら、応じるかどうかを検討しましょう。
もし話し合いで解決できないなら、家庭裁判所による養育費減額請求調停を申し立てる制度もあります。最終的な金額の決定は裁判所にゆだねられます。
自己破産した
相手が自己破産を理由に養育費の支払いを拒否するケースです。債務整理や自己破産をすると債務が免除されますが、養育費は該当しません。つまり自己破産をしても養育費の支払い義務は残ります。
ただ、もし相手が養育費を滞納し、破産手続き中の場合は支払いが一時的にストップします。これは破産手続きができなくなる可能性があるからです。
しかし相手が自己破産したからといって養育費の支払い義務は失われません。
離婚後の生活を優先したい
相手が再婚や交際している異性との生活を優先したいがために、養育費の支払わないケースです。
養育費は親ではなく子どもの権利。しかし、養育費は元妻の口座に振り込むケースがあるため、離婚により他人になったあなたにはお金を遣いたくないと考える人がいるかもしれません。
離婚後に養育費の支払いを求める方法
相手が養育費の支払いに応じない場合は、内容証明郵便を送り、プレッシャーを与える方法があります。
また、法的効力がある公正証書や調停調書などの、正式な文書を作成するのも有効です。詳しく見ていきましょう。
内容証明郵便を送る
内容証明郵便とは、差出人や宛先、郵送の日にちなどを明確にして郵送する郵便物のことです。公正証書の有無を問わず実行でき、精神的に威圧感を与えるために有効な手段です。
ただし、内容証明郵便には強制力がないため、養育費が必ず支払われると約束するものではありません。
公正証書を作成する
公正証書とは、約束ごとを明確に記す書類です。裁判官や検察官など、法務大臣から認可を受けた法律の専門家が公証人となり作成します。
離婚のために作成する公正証書は、離婚前の夫婦が養育費の条件など離婚後の約束ごとを記します。これにより、離婚後にトラブルが派生した際は、裁判所に申し立てずに養育費回収の強制執行が可能です。
たとえば元夫からの養育費の支払いが滞っていた場合、相手の財産を差し押さえ養育費を回収する際に使用できます。
調停調書を作成する
調停調書とは、調停により両者が合意した内容を証明する書類です。調停が成立した際、書記官によって作成されます。公正証書と同じく法的効力があり、強制的な養育費の要求が可能です。
相手から養育費が支払われない場合、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることで作成できます。
公正証書・調停調書を有利に作成するなら離婚理由の証拠が必要
離婚後も子供の親であることに変わりないため、子どもと別々に暮らしている親は養育費を支払わなければなりません。
養育費の支払いは、離婚前に話し合うことが大切ですが、離婚してからでは話し合いすら応じてもらえないケースがあります。
改正民事法を活用し、あなたに有利な離婚をするためには、離婚の要因となった相手の不貞行為やDVなどの証拠が必要です。
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私たち探偵興信所PIOでは、法的効力がある証拠集めのお手伝いが可能です。あなたが離婚を検討しているなら、ぜひ一度ご相談ください。
この記事の著者:探偵社PIO 浮気・素行相談員 S.Y
浮気・素行・離婚関連の相談員プロフェッショナル。相談員歴8年。
年間400人以上もの相談を受けている。
関連タグ: 賢い離婚の仕方
探偵社PIO編集部監修
本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。