横領罪とは何か?その定義から処罰、成立条件までを詳しく解説し、知っておきたい重要ポイントを紹介
横領罪は、業務や個人間で他人の財産を不正に占有する行為に対して成立する犯罪であり、法律上非常に重く見られる罪です。本記事では、横領罪の基本的な定義から成立条件、具体的な処罰内容までを詳しく解説します。
さらに、横領罪が成立する具体的なケースや、実際に発生した事件の事例を交えて、法的リスクを深く理解するためのポイントを紹介します。横領を未然に防ぐための対策についても触れ、個人や企業が直面する可能性のあるリスクを軽減するための知識を提供します。
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横領とは何か?その本質を紹介
横領は、日常生活やビジネスの現場で発生しうる深刻な犯罪行為です。他人から預かった財産や、業務で扱う資産を不正に占有することを指し、その行為には重大な法的リスクが伴います。この記事では、横領の基本的な定義から種類、類似する窃盗との違い、さらには横領罪の法定刑について詳しく解説します。
横領とは?
横領とは、他人から預かった財産や業務上で扱う資産を、自分のものとして不正に占有する行為を指します。これは、他人の信頼を裏切る非常に重大な犯罪であり、個人間のトラブルから企業内部の不正まで、幅広い範囲で発生します。
横領行為が発覚すると、信頼関係が大きく損なわれ、個人や企業に甚大な被害をもたらします。個人間では友人関係や家族関係が破綻し、法的紛争に発展することもあります。
企業内で発生した場合、組織全体の信用が失われ、顧客や取引先との関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
特に、経理担当者や管理職が業務上の地位を利用して横領を行うケースでは、多額の被害が発生し、企業経営に深刻な影響を与えることもあります。
横領は信頼に基づく関係を前提としており、その違反は社会的に重く見られます。単なる財産の不正占有にとどまらず、社会的な信頼を揺るがす行為であるため、法律でも厳格に規制されています。
横領が発覚すると、刑事責任を問われるだけでなく、損害賠償請求や民事訴訟に発展することもあり、加害者には大きな法的リスクが伴います。
横領は、モラルや法的知識の欠如から生じる場合もありますが、経済的な圧力や生活苦が原因で起こることもあります。
そのため、企業や組織ではコンプライアンス教育や内部監査を強化し、個人間でも財産の管理や貸借に関する合意を明確にして、トラブルを防止することが重要です。
横領の種類は?
横領には、いくつかの種類が存在し、それぞれが異なる性質を持っています。
単純横領罪
単純横領罪は、個人が他人の財産を預かり、それを不正に自分のものとする行為です。例えば、友人に預かった高価な時計を返却せず、そのまま自分のものとして使用した場合がこれにあたります。
また、友人から一時的に借りた現金を返さず、無断で使ってしまうケースも単純横領罪に該当します。このような行為は、個人間の信頼関係を破壊し、法的なトラブルに発展する可能性があります。
業務上横領罪
業務上横領罪は、職務上預かった他人の財産を不正に占有する行為を指します。
例えば、会社の経理担当者が会社の資金を自分の口座に振り込むなど、業務上の信頼を利用して行われる不正行為です。
また、顧客から預かった資産を勝手に使い込むケースも業務上横領罪に該当します。
例えば、証券会社の社員が顧客の投資資金を自分の投資に流用した場合などがこれにあたります。
このような行為は、企業全体の信用を失墜させるだけでなく、法律上も重い罰則が科されます。
遺失物等横領罪
遺失物等横領罪とは、道に落ちている他人の財産、例えば財布や携帯電話などを拾った際、その所有者に返さずに自分のものとする行為を指します。
具体例としては、電車の中で他人が忘れていったスマートフォンを拾い、そのまま自分のものとして使用するケースや、道端で拾った現金を警察に届けずに自分の財布に入れる行為がこれに該当します。
このような行為は、たとえ一見小さなものに思えても、法律で罰せられる犯罪行為です。
窃盗との違いは?
横領と窃盗は、どちらも他人の財産を不正に扱う犯罪ですが、その本質には明確な違いがあります。窃盗は、他人が所有する財産を無断で持ち去る行為を指し、例えば、路上に置き忘れられた自転車を勝手に持ち帰る行為がこれに該当します。
この場合、所有者の意思に反して財産が盗まれており、窃盗罪が成立します。
一方で、横領は、他人から預かっていた財産を不正に自分のものとする行為です。例えば、友人から預かった現金や会社の業務上預かった資金を、返却することなく私的に使い込む行為が横領に該当します。
つまり、横領はあらかじめ財産を預かっている立場を悪用する犯罪であり、窃盗とは異なる法的性質を持っています。
横領罪の懲役刑の重さはどの程度?
横領罪は、他人の財産を不正に占有する犯罪であり、その行為の種類や被害の大きさに応じて、科される懲役刑の重さが異なります。横領にはいくつかの種類があり、それぞれの罪に応じて異なる刑罰が定められています。ここでは、横領罪の種類ごとに具体的な懲役刑の内容を詳しく解説します。
単純横領罪の場合
単純横領罪(刑法第252条)は、他人から預かった財産を不正に自分のものとする行為で、その懲役刑は比較的軽いとされています。法律では、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
例えば、友人に預けられた現金を無断で使い込んだ場合や、他人から預かった財産を黙って処分した場合などが該当します。このような行為は、被害額が少ない場合でも、信頼を裏切る行為として厳しく処罰される場合があります。
裁判においては、被害者との和解の有無や被害額の返済状況などが考慮されることもありますが、それでも懲役刑が言い渡されることは少なくありません。
業務上横領罪の場合
業務上横領罪(刑法第253条)は、業務の中で他人の財産を預かり、それを不正に占有する行為を指し、その懲役刑は単純横領罪よりも重くなります。具体的には、10年以下の懲役が科される可能性があります。
例えば、会社の経理担当者が企業の資金を不正に自分の口座に振り込んだり、顧客の資産を勝手に流用したりする行為がこれにあたります。業務上横領罪は、組織の内部で発生するため、企業全体の信用を大きく損なうリスクがあります。
また、被害額が大きい場合や長期間にわたる犯行が発覚した場合には、懲役刑も長期化する傾向があります。特に悪質なケースでは、実刑判決が下され、懲役8年以上の重刑が言い渡されることもあります。
遺失物等横領罪の場合
遺失物等横領罪(刑法第254条)は、道端で拾った他人の財産を自分のものとする行為で、これも横領罪の一種です。具体的には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科される場合があります。
業務上横領罪の量刑は、横領額や犯行の態様、示談の有無などの諸事情を考慮して決定されますが、一般的には懲役刑が選択され、執行猶予がつかない実刑となるケースも少なくありません。
例えば、駅で他人が忘れた財布や携帯電話を拾い、そのまま自分で使ってしまった場合などが該当します。このような行為は、法律に違反していることを認識していない場合も多いですが、それでも法律の下では厳しく処罰されます。
また、遺失物を発見した際に正しく警察に届け出る義務を怠った場合でも、犯罪行為として扱われます。被害額が多額であったり、再犯の場合には、懲役刑が適用される可能性も高まります。
示談になることも
横領事件では、被害者との間での交渉で示談が成立するケースもあります。例えば、横領された金額が比較的少額(50万円以下)であり、加害者が全額を返済し、被害者が示談を希望した場合、示談が成立するときがあります。この場合、加害者が被害者に対して謝罪し、損害賠償を支払うことで刑事告訴を取り下げてもらうことができるため、裁判に至らずに解決が可能です。
示談が成立した場合、加害者に対する処罰が軽減される場合があり、例えば懲役刑が執行猶予付きになる、あるいは罰金刑で済むケースがあります。ただし、示談が成立しても、検察が起訴を維持する場合があるため、必ずしも刑事責任が免除されるわけではありません。
実際に起きた横領事件の具体例を紹介
横領は日常の中でも発生しうる重大な犯罪です。ここでは、実際に起きた横領事件を種類ごとに紹介し、どのような状況で横領が行われ、どのような法的処罰が科されたのかを具体的に見ていきます。
単純横領罪の事件例
単純横領罪の事件として、Aさんのケースを紹介します。Aさんは、友人Bさんから預かっていた100万円相当の高級腕時計を返却せず、無断で質屋に売却し、現金80万円を手に入れました。このお金はAさんの借金返済に充てられましたが、Bさんが腕時計を返してもらえないことを不審に思い、警察に通報しました。その後、Aさんは逮捕されました。
裁判では、Aさんの行為が単純横領罪に該当すると認定され、懲役2年の実刑判決が言い渡されました。被害額が大きく、信頼関係を悪用した点が重く見られた結果、実刑となりました。
業務上横領罪の事件例
次に、業務上横領罪の事件例を紹介します。Cさんは、従業員100名規模の中小企業で経理担当として勤務していました。彼は5年間にわたり、毎月20万円を会社の口座から自分の口座に振り込み、総額1,200万円を不正に取得しました。会社の定期監査で資金の異常な流出が発覚し、内部調査を経てCさんの不正が明らかになりました。Cさんは逮捕され、業務上横領罪で裁判にかけられ、懲役6年の実刑判決が下されました。
この事件では、長期間にわたる犯行と、会社の資金に大きな損害を与えたことが重く評価され、重い刑罰が科されました。
遺失物等横領罪の事件例
最後に、遺失物等横領罪に関する事件例を紹介します。Dさんは、駅の改札付近で誰かが落とした財布を見つけました。財布には現金10万円とクレジットカード、運転免許証が入っていましたが、Dさんはそれを警察に届けず、そのまま現金を自分のものとし、残りの財布とカード類はゴミ箱に捨ててしまいました。被害者が駅に問い合わせ、防犯カメラの映像を確認した結果、Dさんの行動が明らかになり、警察に逮捕されました。
裁判では、遺失物等横領罪に該当するとして、懲役8ヶ月、執行猶予3年の判決が下されました。初犯であり、返還が一部行われたため、執行猶予がついたものの、犯罪行為は厳しく処罰されました。
横領罪を防ぐためには?
これまでは横領の具体例や処罰について説明してきましたが、横領を発生させないことも重要です。企業での横領罪を未然に防ぐためには、適切な対処をすることが求められます。ここでは効果的な防止策を、いくつかの観点から紹介します。
コンプライアンス教育の強化
横領を防ぐためには、従業員や関係者に対するコンプライアンス教育が不可欠です。企業内での横領は、法律や倫理に対する理解不足から生じる場合が多いため、定期的にコンプライアンス研修を実施し、法的な責任や社会的な影響についての周知を徹底する必要があります。具体的には、横領が発覚した際の事例を紹介し、どのような処罰が科されるかを明確にすることで、抑止効果の向上ができます。
業務プロセスの透明性を確保
横領を防ぐもう一つの重要な手段は、業務プロセスの透明性を高めることです。特に、財務や経理に関連する業務では、複数人でのチェック体制を導入し、不正が発生しにくい仕組みの構築が求められます。
例えば、支払い業務においては、経理担当者が一人で全てを管理するのではなく、承認者を設けることで不正の防止ができます。また、定期的な内部監査を実施し、業務プロセスの健全性をチェックすることも効果的です。
ITシステムの活用
近年では、ITシステムを活用した不正防止策も重要視されています。
例えば、会計ソフトやERPシステムを導入し、取引や資金の流れをリアルタイムでモニタリングすることで、不正の兆候を早期に発見することが可能です。
また、アクセス権限の管理を徹底し、必要最小限の従業員にのみ財務データへのアクセスを許可することで、情報漏洩や不正アクセスを防止できます。
相談窓口の設置
企業内での横領を防ぐためには、従業員が不正行為に気づいた際に、安心して相談できる窓口を設けることも重要です。内部通報制度を整備し、匿名での通報を受け付ける仕組みを導入することで、不正の早期発見につながります。
また、通報者が不利益を被らないよう、保護措置を講じることも必要です。これにより、従業員の協力を得て、組織全体で不正行為を防ぐ体制を強化できます。
横領発覚時の対応方法
横領が発覚した際、会社は内部調査だけでなく、弁護士や公認会計士などの第三者を交えた調査委員会を設置することで、調査の客観性と信頼性を高めることができます。また、会社は迅速かつ適切に以下のような対応を取る必要があります。
証拠の収集
最初に行うべきことは、客観的な証拠の収集です。具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 防犯カメラの映像
- 会計帳簿や伝票類
- 銀行口座の入出金記録
- パソコンやスマートフォンのデータ
証拠収集は、加害者に気づかれないよう慎重に行うことが肝要です。もし証拠隠滅されてしまうと、後の懲戒処分や損害賠償請求が困難になるおそれがあります。
加害者への事情聴取
証拠を集めた上で、加害者本人から事情を聴取します。聴取の際は複数人で臨み、可能であれば弁護士立ち合いのもとで行うのが望ましいでしょう。
聴取内容は議事録として残し、本人にも署名させておきます。もし本人が否認した場合は、証拠を示しながら追及し、認めさせることが重要です。
損害賠償・返済請求
横領による損害については、加害者本人に対して損害賠償請求をします。任意の返済に応じない場合は、法的手段を検討する必要があります。
損害額が高額な場合は、加害者の資産状況を調査した上で、債権保全の措置を取ることも肝要です。
懲戒処分の実施
就業規則に基づき、加害者に対する懲戒処分を検討・実施します。横領の悪質性や金額等に応じて、懲戒解雇を含めた厳正な処分が求められます。
ただし、証拠が不十分な場合は慎重に判断すべきです。安易な解雇は後に不当解雇として争われ、会社側が不利になるリスクがあります。
刑事告訴の検討
社内の懲戒だけでなく、刑事告訴も視野に入れる必要があります。告訴の要否は、犯行の悪質性や横領額、示談の可能性等を考慮して判断します。
告訴に踏み切る場合は、弁護士に相談して適切な告訴状を作成してもらうのが賢明です。警察への相談も必要に応じて行います。
以上のように、業務上横領への対応は多岐にわたります。初動の証拠収集を誤ると、その後の対応に大きな支障をきたします。会社は平時から不正対策を講じるとともに、有事の際は弁護士とも相談しながら、適切に対処していくことが求められます。
まとめ
横領罪は、他人の財産を不正に占有する非常に重い犯罪です。その処罰は、行為の種類や被害額に応じて異なります。単純横領罪では5年以下の懲役または50万円以下の罰金、業務上横領罪では10年以下の懲役が科される可能性があります。特に悪質な場合は、重い実刑判決が下されることもあります。横領が疑われる場合は、弁護士や探偵に依頼し、早期に対策することが重要です。
PIO探偵事務所は全国24地域で弁護士協同組合特約店の探偵興信所としての実績を持ちます。ベテラン探偵が多数在籍しており、年間12,000件の探偵業務を行っています。ご相談や費用のお見積りは無料です。不安やお悩みはメールやお電話でも承ります。ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の著者:探偵社PIO 人事/労務信用調査担当 K.A
社員の不正、登用人事でのバックグラウンド調査や採用調査など人事労務に関連する調査を長年行う。
関連タグ: 横領
探偵社PIO編集部監修
本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。