結婚前に素行調査をされたら、債務整理はバレる？結婚前の借金が及ぼす影響とは

公開日:2024/03/10 最終更新日:2024/03/24

結婚は人生の一大イベントです。結婚前にはお互いの両親の顔合わせや、新しい住まい探し、親類との顔合わせなど、やるべきことが沢山あります。そんな中、結婚相手やその親類に素行調査をされてしまう状況が増えています。その結果、調査によって相手には伝えていない情報や、借金などの事実が発覚することによって、「結婚が白紙になる」事態にもなりかねません。

そこで、今回の記事では結婚前の素行調査によって、債務整理などの信用情報がバレてしまう可能性があるのか、解説していきたいと思います。

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実は多い？結婚前の債務整理相談

独身時代は適当に生活してきた人も、結婚という人生の転換期によって「真っ当に生きよう」と思うようになるものです。しかし、身から出たサビで、昨日までの自分をいきなり帳消しにすることは出来ません。その結果、そうした暗部を「結婚相手に隠す」という行為に走ってしまうのです。

債務整理とは

債務整理とは、現在支払っている月々の借金を減額調整し、支払いに猶予を設けることで精神的苦痛を減らし、債務者が確実に安心して借金返済できるような環境を作ることを言います。

債務整理の中には4つの手続き方法があり、債務者の生活状況や支払い状況に応じて適切な方法を選びます。

1.過払金の請求

消費者金融や、クレジット会社、ローン会社には定められた金利比率があり、その金利を超えるような金利手数料を請求していた場合には過払金となります。そうした過払金の返還請求をすることで、払いすぎたお金を債務者に返すことができる手続きとなります。

2.任意整理

任意整理は借金を減額させ、金利の引き直しや支払い期間の交渉を行うことで、毎月の支払い額を生活に支障のない程度まで減額させる方法です。

任意整理では、債務者と貸金業者が交渉し、和解したうえで決定するものです。

任意整理によって過払金が発生していたことが分かることもあり、債務者にとって非常にメリットのある方法の一つと言えます。

3.個人再生

現在の借金を返済することが不可能であるということを裁判所に認めてもらい、許容範囲まで減額された借金を5年程度で分割支払いする手続き方法です。場合によっては借金が10分の1まで減額され、住宅や財産を保持したまま借金整理が可能なため、自己破産よりもメリットのある方法です。

4.自己破産

自己破産は債務整理の最終手段で、「財産が無いために借金を支払えない」ということを裁判所で認めてもらうことで、法律上借金支払いの義務が免除される手続き方法です。この方法で借金は全て無くなりますが、住宅をはじめ、車、バイク、その他の財産的価値のあるもの全てを手放す必要があるため、リスクの大きな方法となります。

また、自己破産では破産した記録が信用取引として共有されるため、クレジットや借入はもちろん、特定の職につけないなどのデメリットが生じます。

債務整理をすると結婚できない？

借金によって生活が困窮している状況などを、「これから結婚する相手に知られたくない」という思いから、結婚前の債務整理相談に来る方が増えています。借金問題は夫婦生活を崩壊させる原因にもなる、大きな問題です。そうした問題を密かに解決したいと思うのは、当たり前のことなのかもしれませんね。

「債務整理が原因で結婚ができないことがある」という噂を耳にしたことがあるという人もいるかもしれません。

結論から申し上げますと、債務整理を相手に隠して行っていたことや借金があることがばれて婚約が破棄するというケースはあるものの、法的に債務整理をしたからと言って結婚ができなくなるということはありません。

また、通常の結婚の手続きや書類提出において、債務整理の有無を知られる心配もありません。

したがって、結婚を機に債務整理を行い安定した生活を確立していきたいと思っている人は、この機会を利用してお金に関する整理をきちんとしておくことをおすすめします。

債務整理のメリットデメリット

続いては、債務整理を行う場合のメリット及びデメリットをご紹介していきます。ここでは債務整理の種類に関わらず共通して挙げられるメリットデメリットをご紹介していきます。

メリット

１，借金の負担軽減

債務整理の種類により負担額の軽減幅は異なりますが、支払額の減額により今後の日常生活を維持していくうえでの負担を減らすことができます。

特に自己破産に関しては、他と比べて債務減免効果が非常に大きくなっています。

２，借金の取り立てや督促がなくなる

電話や訪問による取り立てや督促は、結婚相手に恐怖心を抱かせてしまうことでしょう。

自分だけならまだしも、結婚相手にまで及んでしまうことは出来る限り避けたいことであり、この点が解消されるというのは大きなメリットとなるでしょう。

なお、取り立てや督促の停止に関しては、弁護士に依頼することですぐに実行することができます。一方で弁護士に依頼をしていない場合には、債務整理の交渉中においても督促や取り立てが続きます。

したがって、結婚前までに取り立てや督促から逃れたいと考えるのであれば、債務整理の方法にもよりますが、出来るだけ時間に余裕をもって動き出すことをおすすめします。

デメリット

ブラックリストに載ってしまう

債務整理をおこなうと、その種類に関わらず信用情報機関に事故情報が登録されてしまいます。それによる制限は下記のとおりです。

１，クレジットカードの新規発行ができない

２，現在使用しているクレジットカードも使えなくなる

３，新規のローン申し込みができない

４，奨学金の保証人や連帯保証人になれない

５，場合によっては賃貸契約が出来ない場合がある

ブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードのように短期間であってもお金を後払いにしたり新たにローンを組むようなことができなくなります。

期間は債務整理の種類によりますが、完済後5～7年が目安です。

つまり、結婚を機に債務整理をおこなうとなると、結婚後最低でも5～7年間は新たに借金をして何かを購入したりすることができないということです。

結婚して5～7年と言えば、新生活に伴い車や家具家電、場合によっては家の購入を考えるという人もいるでしょう。

そう考えると、債務整理による負担や制限というのはとても大きなものだといえます。

そして、この点からも結婚相手に債務整理の事実を隠して結婚生活を続けていくのは困難であるということもお分かりいただけるでしょう。

しかしながら、負担や制限が大きいという事実をしっかりと受け止めることも重要になります。一度抱えきれなくなった借金がある手前、お金を借りることには十分に慎重になったほうが良いとも言えます。

自分に合った債務整理の選び方

前段でご紹介したメリットデメリットは債務整理の種類に関わらず共通したものでしたが、続いては債務整理の種類ごとのメリットデメリットをお話していきましょう。

１，過払い金請求

過払い金請求の場合、ブラックリストに載らずに請求することができる可能性があるのが大きなメリットです。既に借金が完済している、請求した過払い金で残りの借金を返済したということができればブラックリストに載らずに借金を終えることができるのです。

また、過払い金の場合、裁判所を通さずに直接業者とやり取りすることになるため、裁判にかかる負担を軽減したり、周りにばれにくいというのもメリットだと言えるでしょう。

一方、デメリットとしては、請求ができたとしても全額が返ってくるケースは少ないということです。ある程度その点は理解したうえで請求を進めていかなければ、納得がいかずに請求自体も長期化する可能性があります。

満額回収を目指す場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。とはいえ、弁護士や専門家に過払い金請求を依頼するとなるとお金がかかります。依頼する場合には、料金を確認のうえ、請求ができた場合に自分の手元にどれくらい残るのかを把握しておく必要があるでしょう。

２，任意整理

任意整理の場合、借金の原因がギャンブルや浪費といったような内容であったとしても問題なく進められるのがメリットです。また、裁判所を通しての手続きではないため手続きにかかる時間や労力を抑えることができます。

そのほか、官報への掲載や周囲にばれる可能性がほとんどないというのも安心して債務整理を進められるという点で大きなメリットということができます。

一方、デメリットとしては借金の減額幅が小さいということです。債務の元金がカットされることはほとんどなく、大幅な減額は期待できません。

3.個人再生

個人再生の場合、借金の大幅な減額がされるというのがメリットです。自己破産とは違い、財産処分の必要がないことから、現在の生活をすべて手放すという必要がないのも個人再生のメリットだと言えるでしょう。

ただし、個人再生のデメリットとして手続きの煩雑さが挙げられます。

裁判所に提出する書類の作成には専門家の知識や技術が必要となり、その依頼費用も高額になります。

認められた場合のメリットは非常に大きなものですが、それに至るまでの道のりは長いものだと言えるでしょう。

4.自己破産

自己破産の場合、免責決定がされれば、税金など非面積債権以外のすべての借金をゼロにすることができるのがメリットです。無職や生活保護受給者であっても利用することができる制度です。

一方、一定の資産価値のある財産を手放す必要があるため、まさに裸一貫でのスタートにあると言えるでしょう。（ただし20万円以下の預貯金や年式の古い自動車などは対象外）

その他、官報に掲載される、周囲にばれる、保証人に迷惑がかかる可能性がある、手続き中の職業や資格の制限など大きなメリットの代償としてさまざまな制限や失うものがあるといえます。

結婚相手に素行調査を行うケース

結婚するにあたって相手に何らかの疑問や不安を抱いている場合、素行調査を依頼することによって解決するということが増えてきています。

素行調査の依頼主は本人のほか、両親などの家族からのケースも多いです。

子を持つ親であれば「子供の幸せ」が何よりの喜びです。それは男性、女性どちらであっても同じことでしょう。そんな時に結婚相手に不安を感じる部分を見つけてしまうと、親として安心して子供を任せることが出来ません。そこで、探偵業者に依頼をして、結婚相手の素行調査を行うという流れになります。

ここでは、どのような場合に素行調査を依頼するケースが多いのかについてご紹介していきます。

１，経歴詐称の可能性がある

誰もが羨むような経歴を持っているような相手の場合に素行調査を依頼する方は多いようです。その主な理由として、「経歴が完璧すぎる」ことと「それらを裏付ける証拠を全く見せない」ということが挙げられます。結婚する人の中には、より自分を大きく見せておきたいという願望から嘘をつく人もいるため、経歴については注意が必要です。場合によっては結婚詐欺を目論んでいることもあるので、素行調査によって個人を特定するのは有効な手段と言えます。

２，結婚相手から借金をしている

「結婚したら返す」などの口実で、結婚前から結婚相手に対して多額の借金をしているようなケースでは、親から素行調査を依頼することもあるようです。恋人や婚約者から借金をする人の多くは、他の金融機関でも多額の借金をしていることが多く、すでに債務整理を行なっていることもあります。したがって、想像以上の借金を抱えているというケースも考えられます。

３，別の異性との関係が疑われる

結婚前から他の異性と関係を疑われている場合には、結婚相手本人や親から素行調査の依頼をすることがあるようです。咳を入れていない段階では単なる遊びのつもりであっても、結婚後に他の女性と不倫をしていたとなると、離婚や慰謝料といった多くの問題が発生してしまう可能性も出てきます。

そういったトラブルを未然に防ぐためにも結婚前の素行調査を行うということでしょう。

４，お金の使い方に問題がある

デートのたびに高級レストランで食事をしたり、記念日には高価なプレゼントを渡したりするのは、もちろん嬉しいことではありますが、身の丈以上のお金遣いは結婚をするにあたってむしろ不信感につながる可能性があります。

もしかしたら借金をしてごちそうしてくれているのではないか？お金は大丈夫なのか？などの疑念を抱いたら、真相をはっきりさせるために素行調査を依頼するということも多いです。

結婚は衣装を共にするものです。したがって、結婚を意識するようになったりいっしょに将来を考えるようになったのであれば、将来を見据えたお金の使い方をするべきだといえます。

素行調査で債務整理はバレるのか

借金トラブルを防ぐためにも、結婚前の素行調査によって「債務記録を調べたい」と考える方は多いと思います。しかし、債務整理などの信用記録は一般に入手することは出来ず、探偵業者が取得するのは違法な行為です。実際に債務整理が素行調査によってバレることはあるのでしょうか？

過払金や任意整理がバレる可能性は低い

過払金や任意整理の手続きは、ほとんどの手続きを司法書士にお願いするだけなので、結婚相手に知られることはほとんどありません。しかし、探偵に調査されている間に司法書士事務所を訪れていると、そこから任意整理の事実が発覚する可能性があるので、調査前に手続きを行なっていることが重要になります。

個人再生や自己破産はバレる可能性が高い

自己破産などの手続きをするには多くの資料が必要になり、国が発行している官報にその情報が掲載されてしまいます。（住所、指名、破産状況を掲載した記事）官報を一般の人が閲覧することはほとんどありませんが、探偵業者に調査を依頼している場合には、露見する確率が非常に高くなります。

また、自己破産に伴って、財産を放棄する必要性があるので、その異常な状況に結婚相手が気づいてしまう確率も大いにあり得ます。

借金がある場合は正直に相手に伝える

お伝えしてきたように、素行調査によってばれる借金とそうでないものがあります。しかしながら「相手にばれなければ問題ない」と言うことでは全くありません。

たとえ結婚前の借金であったとしても、債務整理をしたにしても、相手にも関わってくる事柄に関して隠し事をした状態で結婚をするのはのちのち大きな問題に発展する可能性があります。

実際に借金があることによって、相手に何らかの影響が及ぶ可能性は高いものです。特に自己破産のような重大な手続きを行う場合にはその影響は大変大きなものになるでしょう。

にもかかわらず相手に隠したままで、結婚した後に実はわけのわからない借金があったとばれてしまうと、お金の問題だけでなく相手からの信頼を失うことにもなり得ます。

借金という結婚において不利な情報はできる限り相手に知られたくない、隠したいという気持ちは大いに理解できます。

しかしながら、結婚によってこれから苦楽を共にしていく相手には自分の弱いところやマイナスの面も知ってもらう必要があるでしょう。

借金をどうやって返していくか、相手にできるだけ負担をかけないようにしていくべきかなどをあらかじめ自分の中で整理したうえで、相手に勘づかれるよりも先に誠意をもって伝えることが重要になります。

まとめ

債務整理の種類や進め方、また素行調査によってバレる可能性の有無などについてお話ししてきましたが、いかがだったでしょうか。探偵業者による調査であっても、過払金や任意整理などは調査を免れる可能性がありますが、自己破産などの場合はバレてしまう可能性が高くなります。結婚相手に知られたくないという気持ちはわかりますが、今後何十年と人生をともにするパートナーであるならば、自分の悪い所もしっかり見せていく必要があるのではないでしょうか。

真実を伝える際には、後ろめたい気持ちや相手に嫌われるのではないかという不安も大きいとは思いますが、後々のことを考えると悪い部分も知ってもらったうえで結婚を決断するほうがお互いにとって良かったと思える結果となるでしょう。

また、債務整理はあくまでもゴールではなくスタート地点にすぎません。支払の必要がある場合には、滞納することなく支払っていく、自己破産などで1から出直す場合にはこれまでの生活や金銭感覚を見直し、二度と同じような状況に陥ることのないようにしていくことが最重要ポイントです。