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国際結婚した人が離婚をするための手続を解説【現役弁護士が解説#3】

国際結婚をした人が離婚をする場合、日本の法律が適用されるとは限りません。もし外国の法律が適用されることになれば、日本国内で対応できる弁護士も限られていることや言語の壁などがあり、離婚手続が順調に進まないことがあります。また、国際結婚した夫婦の間に子どもがいる場合には、別居時に子どもを連れて本国に戻ることが難しいケースもあります。

そこで、国際結婚をした人がその後に離婚をする際に気を付けなければならない離婚手続のポイントを詳しく解説します。

国際結婚をした人の離婚

国際結婚をした人が離婚をすることを、「国際離婚」と呼ぶことがあります。国際離婚をするには、日本人同士で結婚した夫婦よりも複雑な手続きが必要です。日本国内の感覚と異なる処理がされることもあるため、国際結婚の離婚手続については事前に十分な調査が必要となります。

国際結婚をした人の数は、厚生労働省が毎年公表している人口動態統計によれば近年は年間2万件程度で推移しています。最近で一番国際結婚が多かったのは2006年前後で年間4万件程度ありました。

一番国際結婚が多かった時期から比較すると近年の国際結婚の件数は半減していますが、1980年以前には年間1万件以下であったことや、国際結婚に限らず全体の婚姻件数自体が緩やかに下降していることからすれば、日本における国際結婚の件数はそれなりの割合になります。国際結婚の件数に比例する形で、国際離婚をする夫婦も相当数にのぼっています。

国際離婚に対して適用される法律

国際結婚をしている場合には、冒頭で述べたように当然に日本の法律が適用されるわけではありません。そこで、国際離婚を考える際にはまず、どの国の法律が適用されるのかを検討する必要があります。

国際離婚に適用される法律

国家をまたぐ法律問題に関しては、「法の適用に関する通則法」に基づいて、どの国の法律が適用されるかを決めます。

国際離婚については、法の適用に関する通則法27条及び同条が準用する25条により、適用される法律が次のとおり定められています。なお、離婚に伴う財産分与に関しても、同じ条文に基づいて適用される法律が決まるのが実務上の取り扱いです。

A 夫婦の本国法が同一である場合本国法
B 夫婦に同一の本国法がないが、夫婦の常居所地法が同一の場合夫婦の常居所地法
C 本国法と常居所地法のいずれも同一でない場合夫婦に最も密接な関係がある地の法
D 夫婦の一方が日本に常に居住する日本人である場合日本法

・A:夫婦の本国法が同一である場合

Aの夫婦の本国法が同一である場合とは、日本人同士の夫婦が外国で離婚をするようなケースです。ただし、日本人夫婦の場合は外国に住んでいても「国際結婚」と呼ばないことが通常ですので、一般的な国際離婚では以下で説明するBからDの問題となります。

・B:夫婦に同一の本国法がないが、夫婦の常居所地法が同一の場合

夫婦の国籍が異なる場合でも夫婦が同じ国に住んでいれば、Bに基づき住んでいる国の法律が適用されます。例えば、妻が日本人で夫がアメリカ人という場合、夫婦が中国で生活をしていれば「夫婦の常居所地」である中国の法律が適用されます。

なお、「常居所地」とは、人が相当長期間にわたり居住する場所を指します。したがって、仮住まいや長期出張による滞在といったケースでは、「常居所地」と認められないことがあります。

・C:本国法と常居所地法のいずれも同一でない場合

夫婦の国籍が異なり、また住んでいる国も異なる場合には、Cに基づき「夫婦に最も密接な関係がある地の法」が適用されます。「夫婦に最も密接な関係がある地」とは、婚姻期間中の夫婦の生活場所や夫婦の財産の所在地等から判断されます。

・D:夫婦の一方が日本に常に居住する日本人である場合

夫婦の国籍が異なったとしても、夫婦のいずれか一方又は両方が日本に住んでいる場合には、Dにより日本法が適用されます。例えば、妻が日本人で夫がアメリカ人の場合、夫がアメリカに住んでいても妻が日本に住んでいるのであれば、この夫婦の国際離婚には日本法が適用されます。

子どもの親権に適用される法律

上で説明したのは、あくまでも夫婦間の離婚成立に関して適用される法律です。夫婦の間に子どもがいる場合の、子どもの親権に関する法律は別に定められますので注意が必要です。

国際離婚における子どもの親権に関しては、法の適用に関する通則法32条に基づき適用される法律が定められます。具体的には以下のとおりです。

A 子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合子の本国法
B 上記にあたらない場合子の常居所地法

妻が日本人、夫がアメリカ人というケースで、子どもが日本国籍を有している場合には、Aに基づき日本法が適用されます。

これに対し、妻が日本人、夫が中国人というケースで、子どもがアメリカで出生したことによりアメリカ国籍を有しているという場合には、子どもが生活している国の法律が適用されます。例えば、子どもが妻と一緒に日本に住んでいるのであれば、適用されるのは日本法になります。

子どもの引渡しや面会交流に関しても、子どもの親権に関する法律が適用されます。ただし、養育費に関しては、これらとはまた異なるルールが適用される事に注意が必要です。

国際結婚した人の離婚手続の流れ

国際結婚した人が離婚をする場合、適用される法律が日本法か外国法かによって手続の流れが異なります。

日本法が適用される場合の国際離婚

日本法が適用される場合の国際離婚としては、上で説明したとおり、夫婦の一方が日本に住んでいるケースが典型的です。日本法が適用される国際離婚の手続は、日本人同士の離婚と基本的に同じです。

日本における離婚の方法としては、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。夫婦で話し合って離婚に合意した場合には協議離婚となり、離婚届を市町村に提出すれば離婚が成立します。

夫婦で離婚に関する協議ができない場合は、まず家庭裁判所に対して離婚調停の申立てをします。調停を経ずにいきなり離婚裁判を起こすことはできないルールになっていることに注意が必要です。

離婚調停においても夫婦間で離婚について合意に達することができなければ、家庭裁判所に離婚を求める裁判を起こします。これが裁判離婚です。

外国法が適用される場合の国際離婚

外国法が適用される国際離婚では、まず適用される国におけるルールを調査する必要があります。その上で、その国際離婚に適用される法律を取り扱うことのできる現地の弁護士などに対応を依頼することになるでしょう。

なお、適用されるのがアメリカ法である場合は州により法律の内容が異なるため、どの州の法律が適用されるのかを適切に判断する必要があります。また、適用される法律が中国法である場合、離婚登記の申請が必要です。

離婚について適用される法律が日本法と外国法のいずれであっても、離婚手続(離婚届の提出など)は夫婦の両方の国で行うことに注意が必要です。自国で離婚手続が完了していないと、その後に再婚をすることができないことになりかねません。このため、相手と離婚することになったら必ず自国で必要となる離婚手続を確認しておきましょう。

国際離婚における子どもの連れ去り

国際離婚をする際には子どもの連れ去りに注意が必要です。夫婦の一方がもう一方に無断で子どもを連れ去った場合に、子どもを元の国に戻すための国際的な枠組みであるハーグ条約が適用されることがあります。

子どもの連れ去りに関するハーグ条約とは

日本では、夫婦の一方が離婚に向けて別居を開始する際に、夫婦のもう一方に断りなく子どもを連れて自宅を出ることが一般的に行われています。

しかし、子どもの連れ去りが国境を超える場合、子どもの生活基盤が大きく変わることの悪影響が懸念されます。子どもにとっては、それまで築いてきた友人などとの交流が突然断たれ、場合によっては慣れない言語環境への適応を求められることになるからです。

このため、国境を越えた子どもの不法な連れ去りがあった場合には、子どもを原則として居住地であった国に戻すというのがハーグ条約の内容です。ハーグ条約は、国際離婚に伴う子どもへの悪影響から子どもを守るための国際的な仕組みであり、日本は2014年4月1日に締結国になりました。

ハーグ条約の適用対象

国際結婚の夫婦間に子どもがある場合には、ハーグ条約の適用対象となるかを判断する必要があります。ハーグ条約が適用されるのは、連れ去り先と連れ去り元の両国がハーグ条約の締結国である場合に限られます。

両国が締結国である場合には、子どもの両親や子ども自身の国籍を問わずハーグ条約が適用されます。例えば、子どもが国境を越えて連れ去られたという場合、日本人夫婦の間でもハーグ条約が適用されることがあります。

また、ハーグ条約の対象となるのは、16歳未満の子どもです。

子どもの連れ去りが誘拐罪となる国も

日本では夫婦の一方による子どもの連れ去りを誘拐罪とした事例はほとんどありませんが、外国では誘拐罪として逮捕されることもあります。

例えば、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアでは子どもの連れ去りが犯罪となります。このため、日本国内の感覚でもう一方の親の同意なく子どもを連れて出国することは、生命や身体に危害を及ぼされるような例外的なケースをのぞいては基本的に避けた方がよいでしょう。

子どもの返還を拒否できるケース

ただし、ハーグ条約が適用される場合でも、国境を越えた子どもの連れ去りがあれば必ず元の居住地国に子どもを戻さなければならないということではありません。例えば、子どもの返還を求めている親が子どもに対して暴力をふるう可能性がある場合には、返還を拒否できることもあります。

国際結婚における子どもの国籍

国際結婚後に離婚したとしても、子どもの国籍には影響しません。

ただし、国際結婚をした夫婦から生まれた子どもの国籍については、両親の国籍国や子どもの出生地によって結論が異なります。国際離婚を検討する場合には、前提として子どもの国籍国がどこかを正確に把握しておく必要はあります。

夫婦の一方が日本人の場合には、子どもが生まれた場所を問わず日本国籍を取得できます。この場合、子どもが生まれてから3か月以内に日本国内で出生届を提出していることが必要です。

これに対し、自国内で出生した子どもについては両親の国籍を問わず自国の国籍を与える制度の国もあります。有名なところでは、アメリカやカナダです。このように、自国で出生した子どもに自国の国籍を与える国で出産した場合、両親の国籍国によっては子どもが二重国籍となることがあります。

子どもが二重国籍となる場合には、出生届を提出する際に「国籍留保」という手続を行い、子どもが22歳までの間にいずれの国籍とするかを選択することになります。

子どもの親権

日本法は、両親の離婚後の子どもの親権に関して、親のいずれか一方だけが親権者となる「単独親権」を採用しています。

ところが、2020年4月10日に公表された法務省の海外の親権等に関する制度の調査報告によれば、調査対象国である24か国のうち22か国が、離婚後も父母双方が子どもの養育に関わる「共同親権」を採用していることがわかりました。

日本人の感覚だと、親権を持つ親が離婚後も親権を持たない親と、子どもの養育に関して継続して話し合わなければならないということに違和感があるかもしれません。しかし、国際離婚の場合、親権に関する法律が適用される国が共同親権を採用している場合には、離婚後も相手方と定期的なやりとりが発生する可能性があることを理解しておく必要があります。

日本同様の単独親権のみを採用している国は、法務省の調査対象国24か国の中では、インドとトルコのみだったということです。その他の多くの国では、単独親権だけでなく共同親権が認められています。

もっとも、共同親権といってもその内容は国により異なります。共同親権を原則としつつ、裁判所の判断で単独親権とできる国としては、イタリア、ドイツ、フランス、フィリピン、オーストラリアなどがあります。

このほか、父母の協議によって単独親権とすることができる国としてカナダのブリティッシュコロンビア州やスペイン等があります。また、インドネシアでは、実際に共同で親権が行使されることはまれであると報告されています。

いずれにしても、子どもの親権を決める際には、親権に関する法律が適用される国のルールをよく理解しておくことが重要です。

まとめ

国際結婚した人が離婚をする場合には、どの国の法律が適用されるかがまず重要です。国によって離婚や子どもの親権に関するルールが大きく異なるためです。もっとも、各国の法律の調査は、その国の言語に堪能であったとしてもなかなか当事者自身が行うのは難しいと思われます。

そこで、基本的には適用される国の法律に詳しい弁護士などの専門家に相談した方が良いでしょう。このほか、大使館でも離婚手続に関する情報を提供しているケースもあります。

いずれにしても、国際離婚をする際には一人で悩まずに周囲の協力を仰ぎつつ用意周到に手続を進めることが大切です。

執筆者プロフィール

弁護士 松浦 絢子
松浦綜合法律事務所代表。
京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。宅地建物取引士。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、男女問題など幅広い相談に対応している。

運営サイト:松浦綜合法律事務所公式サイト
http://matsuura-law.jp/

不貞慰謝料の特設サイト
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