背任とはどんな行為?背任罪が成立した事例や刑事事件、発覚後の対応について解説します

背任行為(背任罪)についてご存知ですか?最近の事件で大きな話題を呼んだのは「カルロス・ゴーン氏」の背任行為だと思います。とはいえ、背任行為や背任罪と言った言葉はまだまだ浸透してはいません。そこで、今回の記事では、背任行為とはどんな行為なのか?どんな罪に問われるのか、背任罪が成立した事例や刑事事件、発覚後の対応についてなどご紹介していきたいと思います。ぜひ参考の一つにしてみてください。

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背任行為とはどんな行為?

背任行為(はいにんこうい)の背任とは、任務や信任に背くことで、自身の利益、または第三者の利益のために職権を利用して損害を与えることを言います。平たく説明すると、「自分か他人の利益のために、会社に損害を与える」行為なのですが、どう言った条件で適応される行為なのか、そしてその行為にはどんなものがあるのか、例を交えながら説明します。

背任行為の条件

任務に背いていること

ここで言う任務とは、会社や企業などの組織で決められた業務、コンプライアンスなどです。廃人行為の絶対条件は「任務、信任に背くこと」です。信任とは、「信頼して任せること」で、会社が従業員に対して業務を任せることは、信任に当たります。簡単に言うと、会社の業務に背き、裏切る行為が背任行為ということです。

他人のために事務を行なっていること

他人のためというのは、「会社組織」のことを表しており、事務とは「財産上の事務」を指しています。会社のために財産の管理(金品など)、権利の手続きなどを行なっている事が必要です。経理を担当している従業員や、直接経理にアクセスできる役職についている人が該当します。

財産上の損害を与えていること

財産上の損害とは、会社組織内のお金を勝手に使う、売却するなどして「業務以外の目的」で使用することです。背任行為の場合は、この行為に「自分のためか他人のため」が含まれます。ただし、会社の利益になることを目的に、独断で行なった財産上の損害については「背任行為(背任罪)」が認められない場合もあります。ただし、会社側からの社会的制裁については該当しません。

背任罪とは

背任行為を行うことで「背任罪」に問われる可能性があります。上記で説明した条件に当てはまる背任行為を行うと、ほとんどの確率で「背任罪」に問われるでしょう。有罪の場合は5年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金となります。

背任罪の時効期間

背任罪には5年という時効期間があり、それ以降は民事上の賠償請求等で対応する必要があります。

債務不履行としての請求・・・・背任行為から10年以内

不法行為としての請求・・・・背任行為から20年以内(背任行為を知った時点から3年)

特別背任罪

背任罪とは別に、特別背任罪というものもあります。特別背任罪は企業の役員や幹部など、企業の中枢で重要な役割・任務を担っている者による背任行為を処罰します。会社法や保険業法などをもとに、刑法以外の複数の法律で定められています。一般的に法定刑は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金あるいはその両方とされており、企業の中枢で重要な役割を担い、企業への損害も大きくなる傾向にあるため背任罪の内容よりかなり重い刑となっています。

背任罪と横領罪の違い

背任罪と似ている罰則に、横領罪があります。背任罪と異なる点としては、横領罪は行為者が管理している他人のものを着服した場合に成立します。見分け方が難しいですが、以下を参考にしてみてください。

  • 横領罪・・・自分が管理している他人の財産を任務に反して着服する行為
  • 背任罪・・・任務に反して財産の着服以外の方法で損害を与える行為

物の着服が一番分かりやすいですが、横領と背任を分けることが可能です。

背任行為を行うとどうなる?

背任行為は刑法に定められた「罪」なので、発覚した時点で逮捕される可能性があります。ここでは、背任行為から罪に問われるまでの流れを解説していきたいと思います。

背任行為発覚から裁判までの流れ

背任行為は社内で発覚する事が多く、外部から漏れるということはあまりありません。昨今の会社組織では内部告発も増えており、社内での不正を防止するために内部スパイを取り入れている企業もあります。

背任行為が発覚

何らかの理由によって、背任行為が発覚すると、まずは社内で事実調査が行われることになります。そこで、背任行為が明らかになった場合、従業員に対して損害賠償請求が行われることになります。ここでポイントなのが、「すぐに刑事事件にしない」ということです。会社としては、従業員の背任行為が公になることより世間的に「ネガティブイメージ」を持たれてしまう方がデメリットになるので、こうした対応を取るようです。

ただし、その事実を知った別の従業員が、警察に通報して公になることもあります。

刑事事件になる場合

警察への通報によって逮捕されてしまった場合は、起訴され裁判を行うことになります。裁判には「正式裁判」と、法廷に出廷する必要がない「略式裁判」があり、罰金刑のみの求刑であれば略式裁判が採用されることもあります。

刑事事件にならない場合

企業によっては、背任行為を公にしないため、「当人との直談判」を行うこともあります。この場合の直談判は「損害賠償の請求」です。企業が受けた損害に対して、相応の対価を支払うという確約を得ることができた場合は、企業側は従業員を訴えず、事実上の「示談」として処理することになります。ただし、確約した内容に背いた場合には「刑事事件」として通報される可能性もあります。

また、背任行為に該当しなくとも未遂というケースもあります。背任罪は既遂か未遂という事実も大切ですが、最終的に企業の財産上の損害が発生したか否かが重要となります。背任罪は個々の財産ではなく被害者の全体財産に対する罪となります。個別の財産の減少ではなく、本人の全体財産の減少があった場合に財産上の損害が発生したとみなされます。ただし、刑事事件にならないケースもあるため、事実関係の精度が重要となります。

背任行為の実例

ここでは、実際に背任行為が罪として認められてしまった実例をいくつか紹介したいと思います。

パチンコ店役員が一部の客に対して情報を公開していた

パチンコ店店長だった男性が、友人男性に対して、スロット台の当たる確率を操作、さらに「大当たり」する方法を公開して数十万円相当の損害を与えた。スロット台の確率設定は店内従業員のみが知る「機密情報」であり、運営の要であったため、背任行為として、パチンコ店は店長男性を警察に引き渡した。

食品加工会社役員が架空発注を行い、不正に利益を得ていた

食品加工会社に勤める役員の男性が、架空発注を繰り返し、5年間で500万円以上のお金を騙し取っていた。発注、経理の担当は男性役員一人で行なっていたため、長年の間、その異変に気づくものはおらず、架空発注の疑いをかけた取引先からのリークによって事実が発覚した。食品加工会社は、男性役員に損害賠償請求を求めたが、男性が拒否したため、警察に通報した。

自動車重量税印紙購入申込書の提出で同立替金が支払われていた

自動車販売会社の営業本部グループ長の男性が、同社が販売する新車の新規登録及びこれに付随する自動車重量税印紙購入等の業務を統括していました。男性は業務を遂行するにあたり、必要となる自動車重量税印紙を購入すべき任務を有していました。ある法人(一般社団法人)の取扱窓口に自社名義の自動車重量税印紙購入申込書を提出すると、B法人による立替払により自動車重量税印紙を購入することができ、自社からある法人に対して、後日同立替金が支払われていました。この事例では、自己の利益を図っていることが認められており、額面金額合計1億490万円の自動車重量税印紙を購入し、法人に立替金合計1億490万円を支払わせ自社に財産上の損害を加えています。男性は背任罪に問われ、実刑として懲役3年を言い渡されました。

副知事らが不正な貸付けを実行していた

普通地方公共団体に属している県の副知事ら3名が、創業をしてから間もない協業組合に対して10億円以上の貸付けを実行していました。協業組合の代表者らは、元々提出している事業計画に必要となる自己資金を調達せず、運転資金不足を生じており、既に県から総額14億円余りの貸付けも受けていました。増資を仮装するものの、同組合の業績はよくなるばかりか悪化するばかりで回復の見込みはありませんでした。副知事ら3名は,貸付けにかかる予算に関して県議会の議決を経ずに、10億円以上の貸付けを実行しており、新しく貸付けを実行したとしても多額な金額を償還できる可能性が極めて難しいことを認識していながらも、実行した行為は背任罪に当たります。県の副知事ら3名らは背任罪に問われ、それぞれ懲役2年2月、懲役1年8月、懲役1年6月の実刑を言い渡されています。

個人名義の銀行口座にお金を入金させている

背任行為に該当していても、実刑にならないケースもあります。実際にあった事例ですが、ある会社は特定の顧客からの申し出により、自社の営業職社員Aが顧客からAの個人名義の銀行口座にお金を入金させている事実を知りました。入金しているのは手数料ということもあり、直接交渉の結果、営業職社員Aが顧客から受け取った手数料を全額分割で支払わせる形で示談が成立しました。自社の職員が業務を遂行している中で横領罪や背任罪にあたる行為にいたるケースが年々増加しており、今回紹介したケースもその一つといえます。示談で成立しており実刑には及んでいませんが、手口が巧妙で発覚しないこともあるため、正確な情報を集めたうえで、示談で解決するのかが論点となります。

背任罪の共犯の取り扱い

背任行為にあたっては、実行している人物とは別に、共犯者が存在する可能性があります。過去の裁判例では、不正な融資に積極的に加担してしまった事例や金融機関に損害を与えることを認識しながらも、融資に応じざるを得ない状況を利用した事例などがあります。

背任行為を行った場合の対処法

背任行為は「犯罪」であるため、見つかってしまえば警察に逮捕されることになるかも知れません。しかし、企業側もマイナスイメージとなってしまう「背任罪」を公にしたいとはあまり思っていません。まずは、やってしまったことを素直に謝罪し、企業側に情状酌量を求めるようにしましょう。(騙し取ったお金は返金する)誠意のある態度が、最悪の状況を回避させる方法になるかも知れません。

どうすればいいのかわからない場合は、弁護士を立て、早期解決に努めてください。

背任行為が発覚した場合の対処法

一方で、自社の社員が背任にあたる行為をしていた場合には、早期解決のために適切に対処する必要があります。ここでは背任行為が発覚した場合の対処法について解説します。

事実関係を迅速に調査する

自社の社員から申告があった場合や背任の疑いが合った場合には、迅速に事実関係を調査しましょう。事実関係を迅速にかつ正しく把握すれば、どのような対応をすべきか判断しやすくなります。場合によっては、懲戒処分や刑事告訴などに発展する可能性もあるため、調査は慎重に進めることが大切です。当事者を含め、関係者に対するヒアリングや事実関係を確認できる書類などを、漏れなく徹底的に調査しましょう。しかし、調査に時間をかけるのは好ましくありません。背任行為が事実だった場合、自社に大きな損害を与えかねません。調査は迅速に済ませ、早い段階で具体的な対処法を検討していきましょう。

調査方法ですが、スピードと調査の精度を上げるためには、コンプライアンスに詳しい法務・監査などの力が必要となります。もしも他の力を借りたい場合には、外部の専門家や弁護士にも相談しながら調査を進めましょう。

懲戒処分等の判断

事実確認を進め、背任行為が発覚した場合には自社の社員に対して、懲戒処分を下すことを判断しなければいけません。事実に対する対応と、その内容の周知は他の社員に対して背任行為を防止することにも繋がります。懲戒処分は会社法にのっとり、適切に判断する必要があります。種類としては大まかに6つほどに分けることができます。

  1. 戒告・けん責:始末書等を書かせるなど、厳重注意を与える処分
  2. 減給:該当社員の賃金を減額する処分
  3. 出勤停止:会社への出勤を禁止し、出勤停止期間の賃金支給もしない処分
  4. 降格:役職を降格し、役職手当も支給しない処分
  5.  諭旨解雇:退職を勧告する処分
  6. 懲戒解雇:労働契約を解除し、労働者を強制的に退職させる処分

減給に関しては、労働基準法91条をもとに平均賃金の1日分の半額以下、かつ総額が1賃金支払期における賃金の10分の1以下にしなければなりません。

さらに懲戒処分を判断する場合には、、懲戒権の濫用に当たらないように注意が必要です。労働契約法15条により、社会通念上相当と認められない懲戒処分は、無効となることもあります。

刑事告訴を検討する

背任行為をきっかけに、自社の社員へ損害賠償を請求しても加害者としての認識が甘かったり、賠償金を払えないなど、拒否されることもあります。会社にとっては、被害も大きく捜査機関に依頼する義務も生じるため、従業員を刑事告訴し刑罰に処してもらうことも検討しましょう。刑事告訴した場合には、自社の社員が訴追される可能性が高まります。コンプライアンスを徹底し、今後の背任行為を防止するためには社内外に対して毅然と対応する姿勢を見せることも重要となるため、慎重に対応していきましょう。

まとめ

今回の記事では、背任行為について詳しく解説させて頂きました。背任行為は悪いことではなく、「犯罪」です。やってしまった罪をしっかり償う必要のある重大な出来事なのです。間違っても「軽い気持ち」で行うことのないよう、十分に気をつけてください。

専門家監修

この記事の著者:探偵社PIO 人事/労務信用調査担当 K.A

社員の不正、登用人事でのバックグラウンド調査や採用調査など人事労務に拘る調査を長年行う。

株式会社ピ・アイ・オ

探偵社PIO編集部監修

本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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