不倫慰謝料と離婚慰謝料の違いとは?【元弁護士が解説#20】

夫や妻に不倫されたら「慰謝料」を請求できることはみなさんご存知でしょう。

実はこのとき「不倫慰謝料」と「離婚慰謝料」という異なる2種類の慰謝料があります。

不倫慰謝料と離婚慰謝料は「金額」や「請求相手」「時効」などの点で違いがあるので、正しい知識を持っておきましょう。

今回は不倫慰謝料と離婚慰謝料の違いを解説します。

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不倫慰謝料とは

不倫慰謝料とは、不倫されたことによって受けた精神的苦痛に対する賠償金です。

人は、夫や妻に裏切られると大きな精神的苦痛を受けるものです。また不倫は法律上の「離婚原因」ともされています(民法770条1項1号)。

このように不倫は民法上の違法行為となるので、配偶者に不倫されたら慰謝料請求が可能となります。このとき、配偶者や不倫相手に請求できる慰謝料が「不倫慰謝料」です。

法律上、不倫を「不貞」というので、不倫慰謝料は「不貞慰謝料」ともいわれます。

離婚慰謝料とは

離婚慰謝料は、離婚するときに配偶者に請求できる慰謝料です。

婚姻中にパートナーによって肉体的・精神的な苦痛を受けており、それが原因で離婚せざるを得なくなったら、人は大きな精神的苦痛を感じるでしょう。そこで婚姻関係を破綻させられたことについて、配偶者へ慰謝料を請求できます。その慰謝料が離婚慰謝料です。

婚姻中、相手が不倫したために離婚を余儀なくされて精神的に傷ついた場合にも離婚慰謝料が発生します。

不倫慰謝料と離婚慰謝料の違い

それでは不倫慰謝料と離婚慰謝料の何が違うのか、みていきましょう。

離婚しなくても発生するか

まずは「離婚しなくても発生するか」が異なります。

不倫慰謝料の場合

不倫慰謝料は、離婚しなくても発生します。「配偶者が不倫したことによって受ける精神的苦痛」に対する慰謝料であり、離婚するかどうかは関係がないためです。もちろん離婚する場合にも不倫慰謝料を請求できます。

離婚慰謝料の場合

離婚慰謝料は、離婚するケースでしか発生しません。「夫婦関係が破綻して離婚せざるを得なくなったために発生する慰謝料」だからです。

請求相手

不倫慰謝料と離婚慰謝料は「請求できる相手」も違います。

不倫慰謝料の場合

不倫慰謝料は、配偶者と不倫相手の両方へ請求できます。

不倫は法律上「共同不法行為」となるからです。共同不法行為とは、2人以上の人が共同で行う不法行為。たとえば複数の人が結託して1人に暴行を振るったケースを考えるとわかりやすいでしょう。加害者が全員「共同不法行為者」になります。

不倫も配偶者と不倫相手が2人で行う共同不法行為といえます。そこで配偶者と不倫相手の双方が慰謝料を支払わねばなりません。この場合、配偶者と不倫相手の関係は「連帯債務」となります。

不倫された被害者は、配偶者と不倫相手のどちらに慰謝料を請求してもかまいません。

離婚慰謝料の場合

離婚慰謝料は、配偶者のみ請求できます。離婚する相手は配偶者だけだからです。不倫相手と離婚するわけではないので、不倫相手には離婚慰謝料を請求できないと考えましょう。

金額

不倫慰謝料と離婚慰謝料は、金額面でも異なる可能性があります。

不倫慰謝料の場合

不倫慰謝料は、不倫されたことによって受けた精神的苦痛への慰謝料です。相場の金額はケースによっても異なりますが、50~300万円程度となる例が多いでしょう。

不倫慰謝料の金額は、離婚しなかった場合に低くなります。離婚しなかった場合、配偶者が受ける精神的苦痛が小さいと考えられるためです。金額的には100万円以下となるでしょう。

一方離婚した場合には100万円以上が相場です。また離婚する場合、婚姻年数に応じて金額が変化します。

●婚姻期間が1~3年程度であれば100~150万円程度

●婚姻期間が3~10年程度であれば150~300万円程度

●婚姻期間が10年以上になれば300万円またはそれ以上

離婚慰謝料の場合

離婚慰謝料は、離婚するときに配偶者へ請求する慰謝料です。

不倫慰謝料とは違って「離婚しなかった場合」は考えられないので、すべて「離婚する場合」の金額となります。

また配偶者の行動によっては不倫慰謝料より高額になる可能性があります。たとえば暴力を振るわれていたDV事案では、単なる不倫の慰謝料より高くなるでしょう。

時効

不倫慰謝料と離婚慰謝料とでは、時効の考え方が異なる可能性があります。

不倫慰謝料の場合

不倫慰謝料の時効は、以下の通りです。

●被害者が不倫の事実と不法行為者を知ってから3年間

つまり「不倫されたこと」と「不倫したのは誰か」を知ってから3年が経過したら、不倫慰謝料の請求権が消滅します。

不倫相手が誰かわからない状態では、不倫慰謝料の時効は成立しません。一方、不倫相手が誰か判明した場合、離婚前であっても不倫慰謝料の時効が成立する可能性があります。

不倫慰謝料の時効の具体例

2017年9月に不倫が発覚、2017年12月に不倫相手を特定できたとしましょう。離婚時期は2018年3月とします。

この場合、不倫慰謝料の3年の時効は2017年12月からカウントします。3年後の2020年12月に時効が成立します。

離婚慰謝料の場合

離婚慰謝料の時効は「離婚後3年間」です。不倫発覚が離婚前でも、時効は離婚時から計算します。すると不倫慰謝料よりも時効期間が長くなる可能性があります。

一方で、離婚後も不倫相手の特定ができなかった場合には、不倫慰謝料の時効の方が長くなる状況も考えられます。

離婚慰謝料の時効の具体例

2017年9月に不倫が発覚、2017年12月に不倫相手を特定、離婚時期は2018年3月の先ほどと同じ事例です。

この場合、「離婚慰謝料」の時効は2018年3月からカウントするので、3年後の2021年3月に時効が成立します。不倫慰謝料を請求できなくなっても、離婚慰謝料なら請求できる可能性があるという結論です。

このように離婚慰謝料と不倫慰謝料の時効は必ずしも一致しないので、請求の際には「どちらを主張すべきか」慎重に検討しなければならないケースがあります。

不倫の慰謝料請求の相手や時効についての最高裁判決

実は最近、不倫慰謝料や離婚慰謝料の請求相手や時効について、最高裁判所で判決が下されています(最高裁2019年2月19日)。どういった内容だったのか、確認しましょう。

不倫の被害者が不倫相手に「離婚慰謝料」を請求

この事案は、妻に不倫された男性が不倫相手の男性に慰謝料請求したものです。不倫が発覚して3年以上経過してから慰謝料請求したため、不倫相手からは「時効が成立している」と反論されました。

ここで男性は「離婚してから3年が経過していないので、慰謝料の時効は成立していない」と再反論。つまり「不倫相手に離婚慰謝料を請求した」のです。

裁判所の判断

第1審と第2審は男性の主張を認め、不倫相手に対して「離婚慰謝料」の支払を命じました。

しかし最高裁判所は「離婚慰謝料は夫婦間で発生する慰謝料であり、不倫相手に対しては原則的に請求できない」と判断。原告の男性による請求を退けました。つまり不倫相手に対する離婚慰謝料の請求を認めなかったのです。そして不倫慰謝料はすでに時効によって消滅していると認定しました。結果として男性の請求は認められませんでした。

この判例により、「離婚慰謝料は不倫相手に請求できない」ことが明確になったといえます。不倫相手には不倫慰謝料を請求しなければなりません。時効が早めに成立する可能性があるので、配偶者との離婚時期にかかわらず、早めに請求を進めましょう。

配偶者への離婚慰謝料請求は可能

なおこの判決によっても、配偶者への離婚慰謝料は請求できます。封じられるには「不倫相手に対する不倫慰謝料請求権」だけなので、混同しないようにしましょう。

不倫慰謝料を請求するため必要な準備

不倫相手に対する慰謝料請求は、早めに行うべきです。不倫相手が判明したら、そのときから3年で時効が成立してしまいます。

しかし不倫が発覚しても「配偶者と離婚するまでは慰謝料請求しない」考えの方が少なくありません。離婚までに3年が経過したら、不倫慰謝料を請求できなくなってしまうおそれがあるのでそういった考えにはリスクがあります。

また時効の期間内であっても、時間が経つと証拠集めがどんどん難しくなってしまいます。配偶者と不倫相手が別れたら、その後に証拠を集めるのは極めて困難になるでしょう。結局「慰謝料請求できないまま」で終わってしまう可能性が高まります。

確実に不倫慰謝料を支払わせるため、早めに不倫の証拠を集めて請求しましょう。

不倫の証拠集めの方法

不倫の証拠は、以下のような方法で進めてください。

できれば同居中に集める

不倫の証拠集めは、できるだけ配偶者との同居中に行いましょう。別居してしまったら相手の行動も把握できませんし、所持品などを調べるのも難しくなります。

相手の所持品、スマホやPCを調べる

具体的な証拠集めの方法としては、パートナーの所持品やスマホ、PCの中をみてみると効果的です。

手帳や日記などに何か手がかりとなる内容が記載されているケースもありますし、カバンの中に領収証や避妊具等が入っているケースもあります。

スマホやPCをみると、親しげなLINE、メールなどのメッセージ、動画、画像が見つかる事例も少なくありません。

証拠を発見したら現物を預かったりコピーをとったり写真撮影したりして、手元に残しましょう。

探偵事務所へ依頼する

自分で調べるのに限界を感じたら、探偵事務所へ調査依頼をしましょう。探偵が尾行調査をすれば、不倫相手の氏名や勤務先、自宅などが明らかになるケースが多々あります。探偵の調査報告書があれば、不倫慰謝料や離婚慰謝料請求をするときの「証拠」として利用できます。

尾行調査を実施するときには「いつ、どこでどのような方法で張り込むか」を決めなければならないので、まずは浮気調査を得意とする探偵事務所へ相談してみてください。

まとめ

離婚慰謝料と不倫慰謝料は異なる慰謝料です。時効の期間が違ってくる可能性があるので、不倫相手に慰謝料請求したいならできるだけ早めに対応しましょう。時効についてわからないことがあれば、弁護士に相談してみてください。

またどちらの慰謝料を請求するにも、証拠が必要です。困ったときには探偵事務所に相談して浮気調査を実施しましょう。

執筆者プロフィール

法律ライター 元弁護士
弁護士としての経験は約10年。その経験をもとに、ライターへ転身後は法律や不動産関係の記事を積極的に執筆している。
弁護士時代は中小企業の顧問業、離婚や不倫など男女関係案件の取扱いが多く、浮気調査や探偵事務所の実情にも詳しい。
記事の作成だけではなく、編集やサイト設計、ディレクションやウェブコンテンツを利用したマーケティングのアドバイスなど、活動の幅を広げている。

運営サイト(元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog)
https://legalharuka.com/433

運営youtubeチャンネル
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本記事は探偵社PIOの編集部が企画・編集・監修を行いました。

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