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未払い残業代を請求された場合の対処方法【元弁護士が解説#13】

ある日突然、退職した従業員や在職の社員から未払い残業代の請求をされたら、企業側としてどのように対処すれば良いのでしょうか?

適切に対応しないと「付加金」や「遅延損害金」を足されて高額な支払が必要になってしまうリスクもあります。

請求を受けた時点で的確に対処して、なるべくダメージを小さくしましょう。

今回は未払い残業代を請求されたときの対処方法を解説します。

未払い残業代請求書が届いたときの対応手順

従業員から未払い残業代の請求書が届いたら、まずは以下の手順で対応しましょう。

労働時間が合っているか確認

まずは、従業員側の主張する「労働時間」が合っているか確認すべきです。従業員側は、実際に働いた以上に過大な労働時間を算入して残業代を計算しているケースが多々あるからです。たとえば以下のようなパターンがあります。

●自分のメモや記憶によって適当に労働時間を計算

●証拠がないので推定で労働時間を計算しており、実際には働いていない時間も算入されている

裁判では、タイムカードに打刻されている時間であっても、実際には労働者が「退職後の開業準備(会社設立)のための作業をしていた」ことを理由に労働時間と認めなかった事例もあります(大阪地裁平成19年4月6日)。

従業員側に弁護士がついていても、労働時間が誤っているケースは少なくありません。相手の主張を鵜呑みにせず、社内の資料と照らし合わせて慎重に検討しましょう。

計算方法が合っているか確認

次に、労働者側の残業代計算方法が合っているか確認しましょう。

残業代は、以下の計算式で計算します。

1時間あたりの基礎賃金×残業時間×割増率

1時間あたりの基礎賃金や割増率が過大になっていると残業代が多めに計算されてしまうので、訂正を求めましょう。特に労働者側が弁護士に依頼せず自分で計算している場合、間違いを起こしているケースが多々あります。

残業代が発生しないケースに該当しないか確認

労働者側が残業代請求をしてきても、実際には残業代が発生しないケースもよくあります。

以下のような事情がないか、確認してみてください。

残業を禁止していた

企業側が明確に残業禁止命令を出し、従業員が残業する必要がなかったのに自主判断で勝手に残業をした場合には、残業代が発生しません。

ただし、単に残業禁止命令を下すだけではなく「残業をしなくても良い状況」を整える必要があります。たとえば定時を過ぎたら上司や別の担当者に引き継げる環境が用意されていたのにあえて残業をされた場合、残業禁止命令の効果が認められやすいでしょう。

管理監督者

従業員が労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合、残業代を支払う必要はありません。

管理監督者とは、以下のように経営者側と一体となっている従業員です。

●経営の重要な意思決定に関わっている

●責任に応じた待遇を受けている

●出退勤時間を自分で決められる

●労務管理を行っている

単に「課長」「マネージャー」などの肩書きを与えるだけではなく、実質的に上記のような条件に該当する場合に管理監督者となります。

裁量労働制

裁量労働制が適用される労働者には、個別の残業代支払いが不要です。

たとえば公認会計士や建築士、弁理士などの専門家、コピーライター、デザイナー、ディレクターなどの専門職に裁量労働制を適用できます。

ただし裁量労働制を導入できるのは一定職種に限られますし、労使間で協定を締結しなければならないなどの要件もあります。要件を満たさないと残業代支払いが必要となるので、注意しましょう。

事業場外のみなし労働時間制

営業職などで外回りの多い従業員には「事業場外のみなし労働時間制」を適用できる可能性があります。外回り営業が多く社内にいる時間が少ない労働者の場合、個別に労働時間を把握するのが困難なため、個別の残業代支払いが不要となるのです。

ただし事業場外のみなし労働時間制を適用するには、労働者に対して会社の指揮監督が及ばない状況でなければなりません。上司が携帯電話などで指示を出している状況では適用できませんし、労使協定の締結も必要です。

残業代を支払い済み

残業代をすでに支払っている場合、支払いは不要です。

よくあるのが「固定残業代」のケース。普段の月給に一定時間までの残業代を含めて支払っているので、その時間までの残業代を払う必要がありません。

ただ固定残業代制度を導入するには、必ず就業規則に規定しておく必要があります。

また給与明細書において、基本給部分と固定残業代部分を分けて記載しなければなりません。

固定残業代制度を導入していても、予定される時間を超えて残業したら、その分の残業代は払わねばならないので注意しましょう。

きちんと要件を満たし、予定された範囲内の残業時間であれば、労働者側の請求する残業代を支払う必要はありません。

残業代の時効が成立している

残業代請求権に「時効」が成立している場合、「時効の援用」をすれば残業代支払いを拒絶できます。時効とは、一定期間の経過によって権利が消滅することです。

残業代請求権の時効期間は現在「5年」とされていますが、2020年3月31日までに発生した残業代の場合、時効は「2年」となります。現時点では多くのケースにおいて、発生して2年が経過していると、残業代を支払う必要はありません。

また時効を主張して残業代の支払いを拒むには、「時効の援用」が必要です。

時効の援用とは、「時効による利益を受けます」と相手に伝えること。従業員に対して「時効を援用します」と伝えて始めて時効の効果が発生します。

内容証明郵便で「時効援用通知書」を作成し、発送すると良いでしょう。

残業代トラブル、解決までの流れ

従業員へ回答する

従業員から残業代の請求書を受け取ったら、回答をしなければなりません。無視していると労働審判や労働訴訟を起こされる可能性が高くなります。

審判や訴訟になると非常に時間がかかりますし、裁判所へも行かねばならず手間も発生するでしょう。できるだけ話し合いによって和解した方が、双方にとって利益となります。

従業員側からの請求書には「入金期限」や「回答期限」が定められているケースも多々あります。受け取ってから1~2週間の間には返答しましょう。

交渉する

回答を送ったら、従業員側と交渉する必要があります。

残業代の支払い義務がない場合、相手に根拠をわかりやすく伝え、請求を取り下げてもらいましょう。払わない場合でも、後日トラブルを蒸し返されないため、「残業代支払い義務がないことを確認する合意書」を作成するようお勧めします。

いくらかの残業代が発生している場合、いくらをいつまでに支払うのか話し合って決めましょう。交渉で解決する場合、必ずしも全額を一括で支払う必要はありません。

従業員側の証明が不確実な場合も多いでしょうから、金額についても減額を求められますし、分割払いの約束もできます。

状況に応じて支払金額と支払方法を取り決めて下さい。合意ができたら合意書を作成しましょう。

労働審判を起こされた場合の対処方法

従業員側から残業代請求をされたとき、話し合いをしても合意できないケースもあります。

そういったケースでは、労働者側から「労働審判」を申し立てられる可能性があるので、注意しましょう。

労働審判とは、裁判所で調停や審判により、労使間のトラブルを解決する方法です。

当初の3回は「調停」が開かれて話し合いによる解決を目指しますが、話し合いが決裂したら裁判官が「審判」によって解決方法を指定します。

労働審判でも最終的に「審判」を下されるので、当初の段階から的確な主張を行い、主張内容を補強する証拠を提出しましょう。

労働審判の注意点

労働審判は、当初話し合いから始まるので、企業側が軽く考えてしまうケースが少なくありません。主張書面を適当に作成したり、資料も用意せずに対応したりしてしまいます。

そうなると、審判に移行した場合に不利になってしまうおそれが高まるでしょう。

労働審判も訴訟と同様にとらえて真剣に対応してください。

申立をされたら、当初から法律の考え方にもとづいた的確な内容の主張書面を提出し、資料をしっかり用意して臨みましょう。早い段階から弁護士に依頼する方が安心です。

審判が出たあとの対応

労働審判で支払い命令が出た場合、必ずしも従う必要はありません。異議を出せば、審判の効力はなくなるからです。その場合、「労働訴訟(裁判)」によって解決することになります。

審判内容にどうしても納得できなければ、異議申立書を提出しましょう。異議を申し立てる期限は「審判を受け取ってから2週間」とされているので、急いで対応してください。

労働訴訟を起こされた場合の注意点

労働審判でも解決できなかった場合、労働訴訟となります。

従業員側がいきなり労働訴訟を起こしてくる可能性もあります。

訴訟では、以下の点に注意しなければなりません。

判決になると「付加金」が加算される

訴訟の判決で未払い残業代の支払い命令が出る場合「付加金」が足されます。

付加金とは、給料をきちんと支払わなかったことに対するペナルティの加算金です。付加金は残業代の元本と同額となるので、付加金を足されると「発生した残業代の2倍」の金額を払わねばなりません。

話し合いや労働審判で解決すれば元本だけで済んだところ、訴訟で判決が出ると支払額が2倍になってしまう可能性があります。

訴訟で敗けるリスクに充分注意しなければなりません。

遅延損害金が足される

訴訟で判決が出ると、高額な「遅延損害金」も加算されます。

在職中の従業員の場合には「年率3%(変動制)」、退職後の従業員の場合には「年率14.6%」にも及びます。

このように訴訟で判決になると、付加金と遅延損害金の影響で非常に高額な残業代を払わねばならない可能性があります。負けそうな場合には早期に和解するなどの対応が必要となるでしょう。

自社のみで判断すると不利益が大きくなる可能性があるので、労働訴訟を起こされたら早めに労働トラブル(企業側)に強い弁護士に相談してください。

最後に

近年では労働者の権利意識も高まり、在職中、退職後を問わず残業代請求のリスクが高まっています。不払いを起こさず法律に従った適切な対応を行い、安全に企業を運営していきましょう。

執筆者プロフィール

福谷陽子
法律ライター 元弁護士
弁護士としての経験は約10年。その経験をもとに、ライターへ転身後は法律や不動産関係の記事を積極的に執筆している。
弁護士時代は中小企業の顧問業、離婚や不倫など男女関係案件の取扱いが多く、浮気調査や探偵事務所の実情にも詳しい。
記事の作成だけではなく、編集やサイト設計、ディレクションやウェブコンテンツを利用したマーケティングのアドバイスなど、活動の幅を広げている。

運営サイト(元弁護士・法律ライター福谷陽子のblog)
https://legalharuka.com/433

運営youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC-vYz7An9GHWXsXjWKbmRdw

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