筆跡鑑定の信憑性は?文字だけで本人だと特定できるの?

刑事ドラマや土曜サスペンスなど、フィクションの世界で大変話題に出てくる「筆跡鑑定」。よくきく言葉ではありますが、実際にはどのくらい筆跡鑑定は有効なのでしょうか。文字だけで本人だと特定するということは、どのようなプロセスをたどっているのかということも踏まえて、ご説明していきます。

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判例における筆跡鑑定の有効性

筆跡鑑定の文字について、最高裁判所の判例ではどのような扱いになっているのでしょうか。

「いわゆる伝統的筆跡鑑定方法は、多分に鑑定人の経験と感に頼るところがあり、ことの性質上、その証明力には自ら限界があるとしても、そのことから直ちに、この鑑定方法が非科学的で、不合理であるということはできないのであって、筆跡鑑定におけるこれまでの経験の集積と、その経験によって裏付けられた判断は、鑑定人の単なる主観にすぎないもの、といえないことはもちろんである。したがって、事実審裁判所の自由心証によって、これを罪証に供すると否とは、その専権に属することがらであるといわなければならない。」

(最高裁昭和41年2月21日第二小法廷決定 昭和40年(あ)第238号脅迫被害事件)

昭和30年に起こった脅迫事件での判例だったのですが、本事件では、はがきの文字によって脅迫されたという案件で有罪となった被告人の弁護士が、4人の筆跡鑑定人の手法は非科学的で証拠能力がないのでは?と主張して行われた裁判でした。この裁判では筆跡鑑定を裁判所がどのようにとらえて判決に結びつけているのかを明示していると考えられています。本裁判では、最高裁は明確な統計的データとして数値化したものを根拠として筆跡鑑定は行われてはいないとしています。ですが、筆跡鑑定は経験と勘といった要素のものだが、書かれた文字の個性の特定や比較、判定基準といった論証のためのプロセス自体には合理性があるため、客観性・科学性がないとは言い切れないというものでした。筆跡鑑定だけで有罪・無罪が決まることはないですが、裁判官の心証に訴えかけうる手段であるとみなされております。本人であるということは文字の筆跡鑑定だけでなく、指紋鑑定やDNA鑑定といった複数の鑑定を用いて判断していくことも重要だと解釈することができますので、文字の筆跡鑑定をしないという選択肢が良い選択だということはできないでしょう。

筆跡鑑定ってどうやって行うの?

最高裁の判例では上記のように示されましたが、そもそも筆跡鑑定とはどのように行うものなのでしょうか。

本人の直筆だと言われる文章を資料として徹底的に集めるところから始めていきます。この本人の直筆だと思われる資料が多ければ多いほど、字の特徴となる部分のデータも明確になり、比べる対象も増えるので、信用性が高まるという理論です。統計的に本人の文字だということができるのは本人の文字だと分かっている資料の多さによって決まるといってよいでしょう。文字の特徴的な部分を複数の文字で見ていくことで、より本人の文字だと考えていくことができるのはすごく自然に入ってくる考え方です。なるべく記載時期が近い資料を多く用いることで、より本人の文字だという信憑性も増していきます。草書体と行書体という書体の違いがあると比べるのが難しくなるため、同じ書体の資料も集める必要があります。また、どのような筆記具を使って書いたかによっても筆跡が異なるため、同じ筆記具で書いた資料を多く集めることも本人の文字だというための筆跡鑑定には必要になりますので気をつけてください。

近年では、パソコンを用いたコンピュータ解析や数値解析が主流となっており、客観性も増しているという現実があります。今後、さらに鑑定としての信頼性も高まると考えられているので、今から文字による筆跡鑑定の知識を得ておくことは大変有意義なのではないでしょうか。

筆跡鑑定で本人だと特定できるか

文字による筆跡鑑定だけで本人だと特定することは、非常におすすめできないと考えます。なぜなら、なるべく多くの種類の鑑定結果でもって本人だと証明していく方が、説得力がより増していくからです。文字の筆跡鑑定だけで本人だと言われるよりも、指紋鑑定やDNA鑑定といった他の鑑定結果も行うことで、より一層本人であるということが証明できることはいうまでもないでしょう。

実際の裁判においても、筆跡鑑定のみで本人だという判決が下りる可能性はかなり低いと言えます。指紋鑑定やDNA鑑定といった様々な鑑定を積み重ねていくことで、裁判においても本人であるという鑑定がなされることが多いです。ですので、筆跡鑑定だけで本人の直筆だと鑑定することはおすすめできませんので、他の鑑定も一緒に行うことをおすすめいたします。

「偽」筆跡鑑定士に鑑定されることも

大変悲しい話ですが、「偽」筆跡鑑定士も存在しています。筆跡鑑定士の歴史は古く、16世紀から需要のある仕事でした。当時からも的確に誠実に仕事をする筆跡鑑定士がいた一方、権力者や富豪といった身入りのよいクライアントを得るのが目的な「偽」筆跡鑑定士も多くいました。今日では的確で誠実に仕事をする多くの筆跡鑑定士たちの努力でさまざまな鑑定方法が生み出され、切磋琢磨された技術によって高い鑑定技術を擁しています。ですが、価格(料金)が不明瞭な値段に設定されている検査をしていたり、鑑定価格を公示してこなかったり、鑑定にかかる費用を具体的に言及してこなかったりする場合には「偽」筆跡鑑定士かもしれないと疑わなくてはなりません。もちろん「偽」筆跡鑑定士による鑑定結果は信用がないことはいうまでもないでしょう。明瞭に鑑定価格を公示しているところに依頼することが鑑定結果の信憑性を得るということにおいてとても重要ですので、しっかりとした業者なのかどうかをしっかりと見極めて本人の文字なのかどうかを筆跡鑑定してもらうことが重要です。

筆跡鑑定が必要なケースとは

遺言書の筆跡鑑定

筆跡鑑定の事例で多いものの一つに遺言書の筆跡鑑定があります。被相続人の資産状況にもよりますが、相続人からすると遺言書の内容次第で、受け取れる遺産の内容や金額が大きく変わってくるもの。相続というと不動産や現預金の多い資産家のイメージがありますが、創業者一族の場合、どの相続人が事業(株式)を相続するかで揉めることもあるようです。家業を継ぎたいと思っている相続人からすると、不動産や現預金の相続以上に大きな問題かもしれません。

このように相続は相続人の間で大きな利害関係を生むもの。そのため、「遺言書が偽物ではないか」と騒ぎ出す相続人や、中には遺言書そのものを勝手に作成(偽造)してしまう相続人まで現れることもあるそうです。そのため、遺言書の筆跡鑑定は非常に大切な作業であり、ときには裁判にもつれ込むこともあります。

契約書の筆跡鑑定

署名・捺印のされた契約書は、日本社会では非常に効力のあるものです。双方、あるいは関係者全員の署名・捺印があればその内容にかかわらず(法律に抵触していない限り)、有効なものと言えるでしょう。そのため、このような日本の風習を逆手に取って契約書を偽造するケースがあるようです。このような場合に、契約行為そのものが有効かどうか確認する必要があります。そのために、筆跡鑑定が利用されることがあるのです。

反対に正式に署名・捺印された場合でも、筆跡鑑定が必要になる場合があります。それは、債務者が債権者に対して、借用書に署名・捺印した事実を否定する場合です。債務者からすると、「自分以外の誰かが借用書に無断で署名・捺印した」と言い張れば、債務を逃れられると思っている場合があります。このような場合には筆跡鑑定により、借用書の筆跡が債務者本人のものであると証明する必要があるのです。

その他書類の筆跡鑑定

契約関係の書類は、法人間だけでなく個人間でも大切なことです。たとえば、一方が離婚したくないと言っているにもかかわらず、他方が離婚届の署名を偽造して提出したとしましょう。この場合、有印私文書偽造罪に問われる可能性があります。このようなときに、筆跡鑑定が必要になるのです。

また、自分の知らない間に婚姻届が提出されているケースもあるようです。しかし、このような場合は結婚詐欺や補助金目当ての偽装結婚などの犯罪に巻き込まれているケースも想定されます。単なる筆跡鑑定だけでなく、場合によっては弁護士への法律相談を必要とすることもありますので、慎重に物事を判断するようにしましょう。

脅迫文や怪文書の筆跡鑑定

筆跡鑑定が必要なのは、遺言書や契約書、あるいは離婚届や婚姻届ばかりではありません。脅迫文や怪文書など、それそのものが犯罪の可能性がある文書に対しても筆跡鑑定が有効な場合があります。一口に脅迫文や怪文書と言っても、気にする必要のないほど稚拙な内容のものから、ごく近い人間しか知らない情報を含んだものまでさまざまあるでしょう。前者の場合は、本人の意向にもよりますがそれほど気にしなくてよい場合もあります。しかし、後者の場合は犯人の特定を急ぎたいと思うでしょう。そのようなときに、筆跡鑑定が有効なのです。

犯人の属性によって、あなたへの被害の種類が変わってきます。たとえば、犯人が近所に住む住人だった場合は引っ越しを余儀なくされるかもしれません。また、犯人が同じ会社に勤める社員だった場合は、退職や転職を余儀なくされる可能性だってあります。あなたに非がなくても、最悪のケースを想定するのは必要なこと。今後のことも考えて、早急に犯人を特定するのがよいでしょう。

まとめ

テレビドラマの中での話のように、本人の文字だと筆跡鑑定だけで判断するのは現実的に難しいといえるでしょう。筆跡鑑定だけの結果で本人の筆跡であると裁判所から断定されることは困難です。筆跡鑑定は数値化できる指標としての能力は弱いですが、鑑定のプロセスには合理性があり論理的であると判例でもみなされております。ですが、近年では、パソコンを用いた統計的に処理された客観性のあるデータも出していくことができてきていますので、今後、筆跡鑑定に対する評価も上がっていくのではと予想できるのは自然なことです。筆跡鑑定だけでなく、指紋鑑定やDNA鑑定も一緒に行っていくことで、本人の文字であると客観的に確定させられる要素を増やしていき、心証を良くして裁判を有利に進めていくことが重要であるという考え方が主流ですので、気をつけてください。信頼のおける筆跡鑑定士を擁しているところに筆跡鑑定を依頼していくことで、筆跡鑑定の客観性と信憑性を増していくことができます。筆跡鑑定のご依頼をお考えの方は明瞭に鑑定価格を公示している信頼性ある業者にご依頼することをおすすめいたします。

専門家監修

この記事の著者:探偵社PIO 鑑定士 M.T

鑑定士歴20年のプロフェッショナル。

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