横領をするにはどのような理由がある?従業員に横領をさせないために企業がすべきこととは?
企業において、従業員が横領をする事件は決して珍しくありません。では、従業員が横領に走る理由は何でしょうか?また、企業がそれを防ぐためにはどのような対策を講じるべきでしょうか?
本記事では従業員が横領をする理由や、企業がすべき予防策について解説します。
浮気・素行調査をお考えの方はPIO探偵事務所へご相談ください
株式会社ピ・アイ・オは興信所探偵社として業歴52年に及ぶ経験と全国24都府県の弁護士協同組合特約店指定として永年の実績を持つ興信所探偵社です。多くの弁護士先生方・法人・個人様からのご依頼をお受けし、「まごころの調査」をモットーに様々な問題の解決に向け、当社の機動力・調査力を駆使し、納得の結果を実現してまいります。
契約以外の経費の水増しや追加料金は一切いただきません。
相談・お見積りは完全無料です。まずはお気軽に興信所探偵社PIOまでご相談下さい。
横領をしたらどうなる?
横領が発覚した場合、企業はどのように対応するのでしょうか。以下に、企業の対応パターンを紹介します。
解雇処分
横領をした場合、解雇処分が一般的です。特に大手企業や上場企業では、メディアやホームページで横領の事実を報告します。自ら報告することで、企業イメージを守る狙いがあります。
しかし、横領により解雇処分となったことを不服として会社を訴えるケースもあります。そのため、会社は横領行為について詳細に調査し、適切な対応を取る必要があります。また、就業規則において、横領を行った場合どのような手続きを取るのか確認することになります。
返済による非公開処理
個人の会社であり、株主などがいない場合には、横領したお金を返済することで会社が公にしないこともあります。また横領した人物が仕事ができて会社にとって戦力である場合は、辞めてもらっては困る場合もあります。
とはいえ横領が発覚した場合、いくら返済したといっても、お金に直接かかわるような仕事はさせられません。このような場合、配置転換を行い、お金に直接関わる業務から外すケースが多いでしょう。
返済をし自主退職
横領した金額が返済可能な場合、企業は家族や友人の協力を得て、横領した従業員に返済させたのち、自主退職を促すこともあります。このように企業は金銭面での損失を回避しつつ、他の従業員に与える影響を最小限に抑えるための措置を取ることがあるのです。会社側は返済を受けることで金銭的な損失を避け、同時に横領した人物に会社を辞めさせます。
これは、会社の他の従業員に与える影響を考慮した結果ですが、一方で横領を許してしまった体制の改善も必要不可欠です。再発防止のために、内部統制の強化や職務分掌の見直しなど、抜本的な対策を講じることが求められます。
横領をする理由
会社のお金を横領する人にはどのような理由があるのでしょうか。横領を働いた人物がなぜそのような行動をとったのか、周囲の人も全く思い当たらないというケースもあります。
従業員が横領をする理由はさまざまです。以下に、主な理由を挙げます。
ギャンブルによる借金
ギャンブルによる借金は、従業員が横領に手を染める主要な理由の一つです。ギャンブル依存症に陥った人は、収入の範囲内で楽しむことができず、借金を重ねてしまうことが多いです。パチンコ、競馬、カジノなど、さまざまなギャンブルにのめり込み、借金が膨らんでしまうと、返済のために会社の資金に手をつけることがあります。
また、ギャンブル依存症は心理的なプレッシャーやストレスから抜け出せず、さらなる借金を抱える悪循環に陥ります。企業は、従業員のギャンブル問題に早期に気づき、サポートを提供することが重要です。例えば、社内カウンセリングや依存症対策のプログラムを導入し、従業員が適切な支援を受けられる環境を整えることで、横領のリスクを減らすことができます。
多額のローンを抱えた結果
人やその家族の中には、見栄っ張りな性格の人が多く、収入に見合わない生活をしているケースが見受けられます。例えば、高価な家や車を購入し、返済のために無理を重ねるうちに、生活費が不足し、最終的に会社の資金に手を出すことになります。特に、家計管理が不十分である場合、借金の返済が滞り、さらに追い詰められてしまうことがあります。
このような状況に陥ると、従業員は横領を一時的な解決策と考えてしまうことが多いです。企業は、従業員の経済的な問題に早期に気づき、適切な支援を提供することが重要です。例えば、ファイナンシャルプランニングの相談窓口を設置し、従業員が無理のない経済計画を立てられるようサポートすることで、横領のリスクを減らすことができます。
投資の失敗
投資の失敗も、従業員が横領に手を染める大きな理由の一つです。株式投資やFX、暗号通貨などへの投資が普及する中で、多くの人が高いリターンを期待して資金を投じています。しかし、投資にはリスクが伴い、必ずしも利益を得られるわけではありません。特に、信用取引やレバレッジを利用した取引では、損失が膨らみやすく、追証が発生することもあります。
このような状況に直面すると、損失を取り戻そうと焦るあまり、会社の資金に手をつけることがあります。例えば、従業員が個人的な投資で大きな損失を出し、その補填のために会社の資金を不正に移動させるケースです。企業は、従業員が投資リスクを適切に理解し、無理のない範囲で投資を行うよう教育することが重要です。
会社への不満
会社への不満は、従業員が横領に手を染める大きな理由の一つです。職場環境や待遇に対する不満、上司とのトラブル、過剰な労働時間やストレスなどが積み重なることで、従業員は会社に対して強い反感を抱くことがあります。
このような状況に陥った従業員は、横領を報復手段として利用することがあります。例えば、給与が低い、評価が不公平だと感じた従業員が、不満を晴らすために会社の資金を不正に利用することがあります。さらに、企業文化や管理体制がずさんな場合、従業員が「この会社ではバレないだろう」と考えてしまうこともあります。
横領をおこなう人の特徴
続いては、横領をおこなう人がどのような特徴を持っているのかについてそのポイントを見ていきましょう。
横領しなければならない理由がある
先述のような横領をするにあたっての理由がある場合に、その解決の手段として横領をおこなうというものです。横領が悪いことであるとわかっていながらも、借金を返すことや目先の誘惑に負けてしまい横領に手を染めてしまうのです。
横領できる機会がある
会社のお金の管理を一部の経理担当者に任せきりになっていて、会社全体が資金やお金の流れに関する情報を把握しきれていない場合には、仮に不正が起こっても周りが気が付きにくいということをいいことに次第に高額のお金を横領してしまうということも起こり得ます。
経理や財務担当者など、日々お金を扱う業務をしている場合、横領の機会が増えます。特に会社の管理がずさんな場合、周囲が気づかないまま横領が行われることがあります。
横領という不正を正当化する
本来は、横領をした本人が間違いなく悪いはずにもかかわらず、ずさんなお金の管理をしている会社が悪い、職場環境に不満があったからその腹いせに横領を実行した、こんなに一生懸命働いているのに給料が少なすぎることに不満があるなどの自分の想いを正当化させて横領に至るというケースもあります。
こうしたずさんな管理や職場環境に対する不満を理由に、横領を正当化することもあります。会社への不満が従業員を横領に導くリスクを生む可能性があります。
なぜ横領してしまうのか?
続いては、犯罪と分かっているはずの横領に手を染めてしまうのか?
横領をおこなう従業員の心理的要因について迫ってみましょう。
後で返せばよい、返せると思っている
横領は、はじめは少額から始まるというケースが多くなっています。「これくらいの金額なら、給料が出た後に補填すれば問題ないだろう」という安易な考えで始まった横領に、だんだんと味を占めてしまったら最後です。気が付いた時には金額が膨らみ、返すことなどできないほどの高額になってしまっているという事態を引き起こすことが考えられます。
一度成功すると、またやろうと思ってしまうのが人間の心理です。
たとえ、あとから返せたとしても、一度は他人のお金に手をつけるという犯罪を犯していることに変わりはありません。金額が少額である場合にも、横領という罪を軽く考えてしまうことのないようにしなければなりません。
会社に不満があり、足を引っ張りたいと思っている
職場の人間関係や、高すぎるノルマ設定など会社に何らかの不満があり、その腹いせとして横領を行うという場合もあります。横領は会社に金銭的なダメージを与えるだけでなく、仮に従業員が逮捕となった場合には、一従業員だけでなく、企業としてのイメージダウンにもつながるものです。
それを狙って、あえて罪と分かっている横領を行うことで、自らだけでなく会社も一緒に罰を被ればよいと思って、横領という罪を犯す人もいるのです。
横領の手口
従業員が行う横領の手口にはさまざまなものがあります。以下に、代表的な手口を紹介します。
書類の偽造
横領の手口として、書類の偽造が挙げられます。具体的には、経費の架空請求のために領収書を改ざんしたり、不正な資金移動を隠蔽するために預金通帳や残高証明書を偽造したりする手口があります。領収書の偽造では、白紙の領収書に金額などを記入したり、筆跡を変えたりして不正に経費を請求します。
一方、預金通帳の偽造では、新しい通帳を作成し、機械を使って精巧に偽造するという巧妙な手口も見られます。これらの書類偽造は、詐欺罪や業務上横領罪などに問われる可能性があり、発覚すれば懲戒解雇などの重い処分を受けることになります。
会社の口座から不正送金
横領の手口として、会社の口座から不正に送金する方法があります。経理担当者など、会社の口座にアクセスできる立場の従業員が、インターネットバンキングを利用して自分の口座に不正に送金するケースが見られます。
この手口では、正規の法人口座が悪用されており、フィッシングによる不正送金被害も急増しています。不正送金を防ぐためには、経理業務の分離や二重チェック体制の構築、アクセス権限の管理徹底が重要です。
また、従業員教育を通じて、不正行為の防止に対する意識を高めることも必要でしょう。不正送金が発覚した場合、会社は金銭的損失だけでなく、信用失墜というダメージも受けることになります。
売上金の着服
売上金の着服は、従業員が店舗や会社での売上金を少額ずつ自分のものにする行為です。多くの場合、毎日の売上報告や会計処理の際に少額を抜き取ることで、不正が発覚しにくくなっています。例えば、100円単位で売上を誤魔化すことで、長期間にわたり着服を続けることが可能です。
また、集金業務を担当する従業員が、顧客からの現金を適切に記録せず、自分のものにすることもあります。売上金の着服は、会社に大きな損失をもたらすだけでなく、従業員間の信頼関係を損なうリスクも高めます。企業は、定期的な監査や会計システムの厳格化などの対策を講じて、不正を未然に防ぐ必要があります。
横領の対象となるもの
横領というと、お金をイメージする方も多いかと思いますが、横領の対象は金銭に限ったものではありません。ここでは、金銭以外に横領されるものをいくつか挙げていきましょう。
小口現金
小口現金は、日常業務で発生する細かな経費を迅速に処理するために用意される現金のことで、交通費や文具費、雑費などの支払いに使用されます。しかし、その管理が緩やかな場合、横領の対象となりやすいです。従業員が領収書を偽造して架空の経費を請求したり、小額ずつ現金を着服することが考えられます。これにより、少額の不正が積み重なって大きな損失となることがあります。
企業は、小口現金の管理を厳格にし、定期的な監査や確認を行うことが重要です。具体的には、経費の使用状況を透明にするためのシステムを導入し、複数の担当者による確認を行うことで、不正行為を未然に防ぐことができます。
会社の物品
会社の物品は、文房具やオフィス用品、商品在庫など、企業が所有するあらゆるものが対象になります。これらの物品は、現金と同様に横領の対象となりやすいです。例えば、従業員が会社の文房具やパソコン周辺機器を無断で持ち出して転売したり、自宅で使用することがあります。また、自社製品を不正に持ち出し、個人的な利益を得ることも考えられます。
こうした不正行為は、企業の財産に直接的な損害を与えるだけでなく、在庫管理の混乱や信頼関係の損失にもつながります。企業は、物品の管理を徹底するために、定期的な棚卸しや持ち出し記録の厳格な管理を実施し、物品の利用状況を明確に把握するシステムを導入することが重要です。従業員教育を通じて、物品管理の重要性と倫理観を醸成することも、予防策として有効です。
横領を未然に防ぐために企業にできること
横領を防ぐためには、企業が積極的に対策を講じることが不可欠です。以下に、企業が実施すべき具体的な対策を中見出しごとに紹介します。
定期的な監査と内部チェックの強化
企業内部の会計や業務プロセスを定期的に監査することは、横領を防ぐ基本的な手段です。監査を通じて、不正の兆候やリスクの高い領域を早期に発見することができます。また、内部チェックシステムを導入し、二重チェックやクロスチェックを行うことで、従業員が不正を行う余地を減らすことができます。
厳格な経費管理と透明性の確保
経費の使用状況を透明にすることは、横領防止に有効です。経費精算システムを導入し、すべての経費申請をデジタル化することで、経費の流れを可視化できます。特に、小口現金の管理は厳格に行い、領収書の確認や使用目的の詳細な報告を義務付けることが重要です。
定期的な従業員教育と意識向上
従業員に対する定期的な教育は、横領防止に欠かせません。横領が犯罪であることを理解させ、企業倫理の重要性を啓発するプログラムを導入しましょう。また、不正行為に関する具体的な事例を紹介し、従業員がどのような行動が横領に該当するのかを明確に理解させることが重要です。
従業員の職場環境と待遇の改善
従業員が横領を行う背景には、職場環境や待遇に対する不満がある場合が多いです。従業員が満足して働ける環境を整備することは、不正行為の抑止につながります。定期的なアンケートを実施し、従業員の声を反映した職場環境の改善や待遇の見直しを行いましょう。
報告制度と内部告発の奨励
不正行為を発見した従業員が安心して報告できる体制を整えることも重要です。匿名での内部告発が可能なホットラインや専用窓口を設置し、不正行為の報告を奨励しましょう。報告者を保護する制度を設けることで、従業員が不正を見過ごさずに報告できる環境を作ります。
ITシステムの活用による監視強化
最新のIT技術を活用して、企業内部の不正行為を監視するシステムを導入することも効果的です。例えば、AIを活用した異常検知システムや、従業員の業務ログを自動的に分析するツールを導入することで、不正行為を早期に発見できます。
まとめ
会社のお金を横領することは犯罪行為です。会社の規模や知名度によっては、メディアに取り上げられ、名前が出てしまうこともあります。なかには、公にしたくないということで、示談となっている場合もありますが、その会社にそのまま残ることはほとんどないと考えておいた方がいいでしょう。
借金が原因で横領することが多いのですが、そうはならないためにも普段の経済活動を見直しましょう。ギャンブルは決められた範囲で行うようにすることが必要です。
横領を未然に防ぐためには、企業が多角的な対策を講じることが重要です。定期的な監査と内部チェック、厳格な経費管理、従業員教育、職場環境の改善、報告制度の整備、そしてITシステムの活用など、多岐にわたる対策を実施することで、不正行為を防ぎ、企業の健全な運営を維持することができます。従業員が安心して働ける環境を整え、不正行為のリスクを最小限に抑えることが、企業の信頼と成長に繋がるのです。