探偵の調査によって横領が未遂だったと分かった場合どうなる?

 探偵の調査によって、会社内で横領が試みられたものの未遂に終わった場合、会社はどのような対応をすべきでしょうか?

横領は未遂であっても、法的なリスクや企業の信用への影響は避けられません。本記事では、横領未遂発覚時の具体的な対応策や、従業員への処分、再発防止のための取り組みについて詳しく解説します。

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横領未遂とは

横領未遂とは、横領行為を試みたものの、何らかの理由で完遂できなかった状態を指します。しかし、法律上は横領罪には未遂罪の規定がありません。

なぜ横領には未遂罪がないのか

横領罪に未遂罪が存在しない理由は、横領罪の特性が影響しています。

横領罪の特性

横領罪が発生する可能性のある状況は、横領の意思の有無にかかわらず、他人の物を自己の占有下に置いている状態です。例えば、銀行窓口で顧客の現金を預かる、経理担当者が会社の現金を管理するなどの状況です。この状況では、現金を占有し取り扱っていても横領にはなりません。しかし、「不法領得の意思」が表に現れた時点で、横領罪が成立します。

既遂の判断「不法領得の意思」が外部に現れた時点とは

横領罪は、不法領得の意思が外部に現れた時点で既遂となります。

例えば

  • 銀行窓口で受け取った顧客の現金を自身の預金口座に入金する
  • 経理担当者が会社の現金を私物のバッグに入れる

これらの行為を行った時点で、横領罪は成立します。横領した現金を実際に使用したかどうか、後日返還したかどうかなどは関係なく、不法領得の意思が外部に現れた時点で、横領罪は既遂となります。

横領に未遂罪がない理由は、通常業務と横領行為の間に、未遂の状態が存在しないためと考えられています。

窃盗罪との違い

窃盗罪では、財物を「奪取する」過程で発覚・逮捕されれば未遂となります。一方、横領罪では、業務などで、すでに財物を占有しているため、不法領得の意思を示した時点で犯罪が完成します。

横領の「不法領得の意思」が外部に現れた時点に当たる具体的な状況

ここでは、横領罪が成立する具体的な事例について紹介します。横領罪は、以下のように横領が途中で発覚したケースであっても成立します。

資金の一時流用

会社の資金を一時的に個人的な目的で使用しようとしたが、発覚して実行できなかった場合。

不正な振込操作

会社の口座から自分の口座に不正に振り込もうとしたが、システムエラーで失敗した場合。

書類の改ざん未遂

経費精算書類を改ざんして不正に金銭を得ようとしたが、上司のチェックで発覚した場合。

商品の持ち出し未遂

会社の商品を無断で持ち出そうとしたが、警備員に発見された場合。

顧客情報の不正利用

顧客リストを自分の利益のために使用しようとしたが、システムのセキュリティで阻止された場合。

横領は、途中で発覚したケースであっても法的には横領罪が成立するため、企業内での信頼関係を著しく損なう行為として、厳しく対処される可能性が高いです。

探偵調査で横領が判明するケース

探偵による調査で横領が発覚するケースには、主に以下のようなパターンがあります。

金銭の流れの追跡

探偵が会社の財務記録や銀行取引明細を詳細に調査※した際に、以下のような不自然な金銭の動きを発見することがあります。

  • 架空の取引先への送金
  • 従業員の個人口座への不審な振込
  • 現金の引き出しと使途不明金の発生

※探偵は法的な範囲内で、調査対象者の行動や生活態度の調査を行うことができますが、個人情報や機密情報の直接調査には制限があります。必要な場合は、弁護士や司法機関と協力することが求められます。

監視カメラの分析

オフィスや金庫室などに設置された監視カメラの映像を詳細に分析し、従業員の不審な行動を発見することがあります。

内部情報提供者からの情報

社内の匿名の情報提供者から横領の疑いに関する情報を入手し、それを基に調査を進めるケースがあります。

生活態度の変化の観察

探偵が対象者の生活態度の急激な変化(高価な買い物の増加、ギャンブルの頻度上昇など)を観察し、収入源を調査することで横領の証拠を見つけることがあります。

デジタルフォレンジック調査

会社のコンピューターやスマートフォンのデータを専門的に分析し、削除されたファイルや隠されたデータから横領の証拠を発見することがあります。

取引先への聞き込み

探偵が取引先に対して秘密裏に調査を行い、架空取引や水増し請求などの不正を発見するケースがあります。

これらの方法を組み合わせることで、探偵調査は横領の事実を明らかにし、証拠を収集することができます。調査の際には個人のプライバシーや法的制限に注意が払われます。

横領に対する処罰とは

一般的な横領罪に対する処罰について解説します。

損害賠償の請求

横領行為を行った者に対して、被害者は民事上の損害賠償を請求することができます。この請求には以下の内容が含まれます。

  1. 横領された現金や物品の返還
  2. 形のない資産の場合、その価値に相当する金銭の支払い

しかし、裁判を起こしても即座に賠償金を回収できるわけではありません。横領の発覚から時間が経過していると、以下のような状況が考えられます。

  • 横領された財物が既に使用・消費されている可能性
  • 横領者の手元に返還するための資産が残っていない可能性

特に高額の横領案件(例:不動産関連)では、一括での返還が困難な場合が多くあります。そのような場合、現実的な解決策として分割払いが検討されることがあります。

損害賠償請求を行う際は、以下の点について慎重に検討する必要があります。

  • 横領の規模と内容
  • 横領者の現在の資産状況
  • 返済能力と返済計画の実現可能性

被害者と加害者の間で、これらの点について十分な協議を行い、現実的な解決策を見出すことが重要です。

解雇

横領や犯罪行為は、多くの場合、就業規則に定められた解雇事由や懲戒解雇事由に該当します。しかし、解雇の判断は慎重に行う必要があります。

就業規則に具体的な記載がない場合でも、横領行為が発覚すれば解雇される可能性は高いですが、会社が安易に解雇を決定すると問題が生じる可能性があります。労働者保護の観点から、解雇が無効とされる場合もあり、その場合、会社側に給与支払いなどの負担が生じます。

解雇の判断は複雑で、法的リスクを伴うため、専門家への相談が推奨されます。適切な手続きを踏むことで、公正かつ有効な解雇処分を行うことができます。

刑事告訴

刑事告訴とは、犯罪の被害者やその法定代理人が、捜査機関に対して犯人の処罰を求める意思表示をすることです。業務上横領罪は、自己の占有する他人の財物を不法に領得する行為で、刑法上の犯罪に該当します。

告訴の方法と効果

法律上、告訴は口頭でも可能ですが、具体的な内容や被害額を明確にするために書面(告訴状)で行うことが一般的です。告訴状に証拠を添付することで、事件の信憑性が高まり、捜査の進展に寄与する可能性があります。

ただし、刑事告訴は刑事手続きであり、直接的に損害賠償の承認につながるものではありません。損害賠償は民事上の問題であり、別途対応が必要です。

刑事告訴の効果

刑事告訴には以下のような効果が期待できます。

  • 犯罪の抑止
    他の従業員に対して、不正行為への厳格な対応を示すことができます。
  • 捜査の開始
    警察や検察による正式な捜査が開始される可能性が高まります。
  • 社会的責任の遂行
    特に上場企業の場合、株主への説明責任を果たす手段となります。

ただし、刑事告訴には会社側の負担(事情聴取への対応など)も伴うため、慎重に検討する必要があります。また、被告人の服役により返済が困難になる可能性もあるため、損害回復の観点からは必ずしも最適な選択肢とは限りません。

以上のように、刑事告訴は重要な法的手段ですが、その効果と影響を十分に考慮した上で判断することが重要です。

横領行為が未遂で逮捕されることはある?

横領行為は、一般的に未遂と思われる状態であっても逮捕される可能性があります。日本の刑法では、特定の犯罪について未遂犯も処罰の対象とされています。横領罪の場合は、未遂であるかどうかに関わらず、横領行為を試みた段階で横領罪が成立するため、逮捕されることがあります。

ここでは、未遂で逮捕される具体的な状況について詳しく説明します。

未遂であっても犯罪の構成要件を満たす場合

横領未遂で逮捕される可能性は低いですが、横領の意図を示す証拠があり、実行に移されたとみなされれば、逮捕が行われることもあります。逮捕は、不法領得の意思が具体的に外部に表れたかどうかにかかっています。

  • 故意の存在
    横領しようとする意図が明確にあったこと。
  • 行為の実行
    横領行為を実行するための具体的な行動が行われたこと(例:資金移動の準備や虚偽書類の作成など)。

これらの条件が揃っていれば、たとえ実際に財産を取得することに失敗したとしても、逮捕される可能性があります。

証拠が十分に揃っている場合

未遂の場合でも、逮捕に必要な証拠が十分に揃っている場合は逮捕されることがあります。例えば、電子メールやチャットの記録、監視カメラの映像、不正なアクセスログなどが証拠として揃っている場合です。これらの証拠が、横領行為の意図とその実行を裏付けるものとして評価されれば、逮捕に至る可能性が高まります。

社内調査や第三者からの告発による場合

企業内部で横領未遂が疑われる場合、社内調査や監査が行われ、その結果が外部の捜査機関に提供されることがあります。また、従業員や取引先など第三者からの告発がきっかけで捜査が始まる場合もあります。これらの場合、警察が証拠を収集し、横領未遂の犯罪が成立する可能性があると判断すれば、逮捕に至ることがあります。

公益性や社会的影響が大きい場合

横領未遂が発覚した場合、その行為が企業や社会に対して大きな影響を及ぼす可能性があると判断されれば、未遂であっても逮捕される可能性があります。

例えば、大規模な企業での不正行為や、公的機関での横領未遂などは、社会的に重大な問題と見なされ、迅速な対応が求められるため、未遂であっても逮捕に繋がるケースがあります。

横領の未遂が複数回にわたる場合

同じ人物が複数回にわたって横領未遂を繰り返している場合、それ自体が強い犯罪の意思を示すものとして、警察や検察が厳しく対処する可能性があります。この場合、未遂であっても逮捕が行われ、起訴されるリスクが高まります。

被害弁償と示談で逮捕は回避できるのか

加害者と被害者の間で示談が成立し、被害弁償が可能な場合、刑事告訴をしないという選択肢も考えられます。しかし、横領罪は示談が成立しても、必ずしも逮捕や起訴を免れるわけではないため、横領の悪質性などを含めて被害者側が総合的に判断することが可能です。

横領未遂発覚後の会社の対応

横領未遂が発覚した場合、会社としては迅速かつ適切な対応が求められます。未遂であっても、会社の財産や信用に対する重大なリスクが存在するため、しっかりとした対策を講じることが必要です。

以下に、横領未遂発覚後の一般的な会社の対応手順を解説します。

緊急対応と初期調査

まず、横領未遂が発覚した場合には、事実確認のための緊急対応を行います。この段階では、以下のような対応が求められます。

  • 関係者の聴取
    関係者から事情を聴取し、横領未遂の経緯や背景を把握します。
  • 証拠の確保
    電子メール、帳簿、監視カメラの映像、アクセスログなど、可能な限りの証拠を収集・保存します。証拠が失われたり改ざんされたりしないように注意を払います。
  • 内部監査の実施
    内部監査部門やコンプライアンス部門が中心となり、具体的な不正行為の内容や範囲を確認するための調査を行います。

関係者の一時的な業務停止措置

横領未遂に関与した可能性のある従業員に対しては、調査期間中の一時的な業務停止や、担当業務からの異動を命じることがあります。これは、調査の公正性を保ち、証拠の隠滅や他の従業員への影響を最小限に抑えるための措置です。

外部専門機関との連携

場合によっては、外部の法律事務所や専門の調査機関(たとえば、会計士や探偵)と連携して、より詳細な調査を行うことが推奨されます。特に大規模な横領未遂や複雑な手口が関与している場合、専門知識を持った第三者の協力が必要です。

社内通報システムの見直しと強化

横領未遂が発覚した後、会社は内部通報制度の見直しや強化を行うことが一般的です。従業員が不正行為を早期に報告できるような仕組みを整えることで、今後のリスクを軽減するためです。これには、匿名での通報制度の導入や、通報者の保護を強化する措置が含まれます。

適切な懲戒処分の実施

調査の結果、横領未遂が確認された場合、会社は関与した従業員に対して適切な懲戒処分を行います。この処分には、警告、減給、降格、懲戒解雇など、会社の就業規則に基づく措置が含まれます。場合によっては、法的措置を取ることも考慮されます。

法的措置の検討

横領未遂の内容が重大である場合、会社は刑事告発や民事訴訟を検討することがあります。刑事告発により、警察が関与して捜査が行われることになり、未遂であっても罰せられる可能性があります。また、民事訴訟により、被害額の回収を目指すこともあります。

会社のガバナンスと内部統制の見直し

横領未遂の発覚は、会社の内部統制やガバナンス体制に問題があることを示すサインでもあります。そのため、再発防止のために以下のような見直しが必要です。

  • 内部監査手続きの強化定期的な内部監査の実施や、不正防止のための監査基準の見直し。
  • 業務プロセスの改善物品の管理、経費の精算、取引の承認プロセスなど、リスクの高い業務プロセスの改善。
  • 教育と意識向上全社員に対してコンプライアンス教育や不正行為防止の意識向上プログラムを実施。

取引先やステークホルダーへの説明と報告

横領未遂が発覚した場合、必要に応じて取引先や株主、顧客などのステークホルダーに対して事実を報告し、適切な説明を行うことも重要です。透明性を保ち、信頼を維持するためには、情報開示のタイミングや内容に慎重を期する必要があります。

まとめ

横領は、未遂であっても、意図的な不正行為が認められれば、従業員への懲戒処分や法的措置が取られる可能性があります。また、横領の再発防止のために内部統制の見直しや社内通報制度の強化を図ることが重要です。透明性を保ち、取引先やステークホルダーへの説明責任を果たすことで、会社の信頼を守りましょう。

PIO探偵事務所は弁護士協同組合特約店の探偵興信所として、年間12,000件の探偵業務を行っており、横領の徹底調査にも対応いたします。ご相談や費用のお見積りは無料です。ぜひお気軽にご相談ください。

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専門家監修

この記事の著者:探偵社PIO 人事/労務信用調査担当 K.A

社員の不正、登用人事でのバックグラウンド調査や採用調査など人事労務に関連する調査を長年行う。

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