怪文書の慰謝料の請求方法とは?名誉毀損に対する対策と専門家への相談方法を解説

怪文書によって、日々の生活に支障が出るほどの精神的苦痛を受けてしまう人も少なくありません。匿名の人物によって、自分の生活が脅かされるというのは腹立たしいことかと思います。
そこで、今回の記事では、怪文書を送ってきた相手に慰謝料請求することは可能なのか、その具体的な方法について、実例を元に解説します。
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目次
怪文書による名誉毀損の概要

怪文書による名誉毀損は深刻な問題です。ここでは怪文書の本質と対応の重要性を明らかにします。
怪文書とは何か
怪文書は、発行者や出所が不明な状態で出回る匿名の文書のことを指します。主な特徴として以下が挙げられます。
- 信憑性や発行者が不明確である
- 特定の個人や組織に関する情報や主張を含むことが多い
- 誹謗中傷やデマなどを含むケースが多い
- 内容に不可解な点や胡散臭さがある
怪文書の内容は多岐にわたり、誹謗中傷を目的としたもの、内部告発を装ったもの、脅迫を目的としたものなど、様々な種類が存在します。インターネットの普及により、メールやSNSなどでも怪文書が拡散されやすくなっています。
怪文書は、根拠不明の情報でありながら、読んだ者に影響を与える可能性があるため問題視されています。怪文書は名誉毀損罪や侮辱罪などに該当する可能性があります。そのため、怪文書を受け取った際には適切な対応が必要となります。
名誉毀損の法的定義
名誉毀損は、人の名誉を損なう行為です。刑法と民法に定められており、具体的には以下のような特徴があります。
- 刑法の名誉毀損罪(第230条)
- 民法の不法行為(第709条)
名誉毀損罪が成立するための要件は以下の3つです。
- 「公然と」行われたこと
- 「事実を摘示」したこと
- 「人の名誉を毀損」したこと
成立要件の「名誉」とは、個人の主観的な名誉感情ではなく、社会から受ける一般的な評価全般が対象となります。
重要なポイントとして、摘示された内容が真実であっても虚偽であっても成立し得ます。法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金とされています。
なお、名誉毀損と似た概念に侮辱罪がありますが、侮辱罪は事実の摘示を伴わない点が大きな違いです。
名誉毀損の「事実」とは
名誉毀損罪に定義されている「事実」は、刑法230条1項に「その事実の有無にかかわらず」と明記されています。つまり、怪文書の内容が真実でも虚偽でもどちらでも名誉毀損となる可能性があります。
主な理由は以下の通りです。
- 社会的評価の保護
名誉毀損罪の目的は、個人や団体の社会的評価を保護することにあります。 - 表現の影響
真実であっても、公然と摘示されることで社会的評価が低下する可能性があります。 - プライバシーの保護
個人の私生活に関する事実であっても、公然と摘示されることでプライバシーが侵害される可能性があります。
ただし、以下の条件をすべて満たす場合は、違法性阻却事由として名誉毀損罪が成立しない可能性があります。
- 事実の公共性
記載された内容が公共の利害に関するものであること - 目的の公益性
専ら公益を図る目的であったこと - 真実性の証明
摘示された事実の重要な部分が真実であると証明されること
これらの条件は、表現の自由や報道の自由、国民の知る権利との調和を図るために設けられています。したがって、名誉毀損を考える際には、単に摘示された内容が事実かどうかだけでなく、その内容の公共性や目的、社会的影響なども総合的に考慮する必要があります。
怪文書は名誉毀損と侮辱罪どちらに該当するか

怪文書が名誉毀損と侮辱罪、どちらに該当するかは怪文書の内容によって判断されます。
名誉毀損と侮辱罪の主な違い
以下に、名誉毀損と侮辱罪の違いについて解説します。
事実の摘示の有無
- 名誉毀損罪
具体的な事実を摘示して人の社会的評価を低下させる行為 - 侮辱罪
内容に具体的な事実がなく、抽象的な言葉で人を侮辱する行為
法定刑の重さ
- 名誉毀損罪
3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金 - 侮辱罪
1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
成立要件
- 名誉毀損罪
公然性があること
具体的な事実を摘示すること
人の社会的評価を低下させること
- 侮辱罪
公然性があること
事実を摘示せず抽象的な表現であること
人を侮辱すること
適用される状況
- 名誉毀損罪
「AさんはBという犯罪を犯した」など具体的な事実を述べる場合 - 侮辱罪
「Aさんはバカだ」「Aさんは無能だ」など抽象的な悪口を言う場合
違法性阻却事由
- 名誉毀損罪
公共性、公益性、真実性の3要件を満たせば違法性が阻却され、名誉毀損が成立しない可能性がある - 侮辱罪
基本的に違法性阻却事由は認められない
これらの違いにより、具体的な状況に応じて名誉毀損罪か侮辱罪かが判断されます。怪文書の内容が具体的な事実を摘示している場合は名誉毀損罪、抽象的な侮辱表現のみの場合は侮辱罪に該当する可能性が高くなります。
怪文書で慰謝料請求するためには

怪文書は違法性の高い悪質な行為となる可能性があり、内容や状況によっては名誉毀損罪や侮辱罪などで刑事事件になることもあります。しかし、怪文書は匿名という性質上、相手に対して慰謝料請求することが難しい案件の一つともいえます。
慰謝料請求するには「犯人特定」が必要
怪文書の多くは宛先なしで、どこの誰が何のために送ったのか分からないというケースが少なくありません。被害者側に送られてくる心当たりがあれば、そこから相手を特定するということは可能ですが、全く身に覚えのない相手である場合は、特定するまでに時間が掛かったり、場合によっては特定できないという可能性もあります。
怪文書を送ってくる相手に対して慰謝料請求する場合は、「犯人の特定」が最優先事項となります。
慰謝料請求しても確実に支払われるわけではない
たとえ、民事で慰謝料請求が認められた場合でも、犯人に支払い能力がない、又は支払いをしないで雲隠れしてしまうなどの行動を取られると、慰謝料を払ってもらえなくなるという危険性があります。こうした理由から、刑事事件にできる場合はそちらで告訴して、同時にに慰謝料請求するなどの対応をしておくことが重要です。
犯人の情報を警察だけでなく、独自に調査しておく
怪文書の犯人を特定する際には、警察に依頼するだけでなく、探偵や弁護士、個人での調査など、できる限りの範囲で調査できることを行いましょう。情報が多いほど相手を追い詰めることができますし、慰謝料請求を行うために有利な証拠を得ることが可能になります。
慰謝料請求の流れ

怪文書による名誉毀損の被害者が慰謝料を請求する際の一般的な手順を解説します。証拠収集から法的手続きまで、各ステップの重要性と注意点を詳しく説明します。
証拠の収集と保存
- 名誉毀損の証拠を集める
- 怪文書の場合は、文書そのものや送付された封筒などを保管
証拠は慰謝料請求の成否を左右する重要な要素です。書面の怪文書、メールやSNSの投稿などインターネットを使用した怪文書、あらゆる形態の証拠を慎重に収集し、日付や状況を記録しておくことが重要です。
加害者の特定
- 怪文書の送り主を特定する
- 必要に応じて探偵や弁護士に依頼
怪文書の場合、加害者の特定が難しいケースが多いです。探偵の助けを借りることで、指紋や筆跡鑑定、疑わしい人物の身辺調査など、高度な調査手法を活用できる可能性があります。
請求額の算定
- 慰謝料の相場を参考に、具体的な金額を決める
- 精神的苦痛の程度や被害の大きさを考慮する
慰謝料の金額は、被害の程度や社会的影響、加害者の態度などを総合的に判断して決定します。弁護士に相談し、適切な金額設定をすることが望ましいでしょう。
請求書の送付
- 内容証明郵便で相手に請求書を送る
- 請求の理由や金額、支払期限などを明記
請求書は法的な意味を持つ重要な文書です。請求の根拠、具体的な被害内容、希望する解決方法を明確に記載し、相手に誠意ある対応を求めましょう。
相手との交渉
- 直接または弁護士を通じて交渉を行う
- 金額や支払方法について話し合う
交渉は冷静に行うことが重要です。感情的になると適切な解決が困難になる可能性があります。必要に応じて弁護士に交渉を依頼することも検討しましょう。
示談書の作成
- 合意に至った場合、示談書を作成
- 慰謝料の金額や支払方法、その他の条件を明記
示談書は法的拘束力を持つ重要な文書です。曖昧な表現を避け、具体的な条件を明記することで、後のトラブルを防ぐことができます。
法的手続きの検討
- 交渉が決裂した場合、調停や訴訟を検討
- 弁護士に相談し、最適な方法を選択
法的手続きは最後の手段です。費用や時間、精神的負担を考慮し、慎重に判断しましょう。弁護士のアドバイスを受けながら、最適な解決方法を選択することが重要です。
怪文書で慰謝料請求した事例

ここでは実際に怪文書が送られてきた被害者が、犯人に対して慰謝料請求をした実例をご紹介したいと思います。
不倫関係を暴露する怪文書が会社に送られた
不倫を行なっていた男性Aが勤める会社に、宛先不明の封書が送られてきました。内容は男性Aが社内女性を強引に誘い、嫌がっているのに関わらず不倫関係に持ち込んだという内容の怪文書と、二人でホテルに入る写真が同封されているというものでした。
怪文書を見た男性Aの上司は男性Aと女性に事実確認を行ったところ、男性は「不倫はしていたが、誘ったのは女性で関係は一度限り、その後の誘いは断っていた」とし、女性は「脅されて無理やり不倫関係になった」と発言しており、事態を重くみた上司は男性Aをコンプライアンス違反として解雇することにしました。
この対応を不服とした男性Aは会社と女性に対して慰謝料請求を行い、事実確認を調査するため探偵に調査を依頼しました。調査の結果、怪文書を送ったのは不倫をしていた女性であり、不倫を強要していたのも女性ということが分かりました。これを受けて会社は男性に謝罪し、女性も罪を認め、示談交渉により解決に至りました。
この事例では、不倫を強要した女性が関係を続けない男性に苛立ち、男性を陥れるために怪文書を送ったということでした。怪文書によって男性Aは社内での評価が失墜し、また職まで失うという状況になってしまったため、刑事告訴も検討していたようですが、話し合いの結果示談ということでまとまったようです。
殺人予告のような怪文書が送られてきた
アパートで一人暮らしをする女性宛に、無記名の殺人予告が送られてきました。女性は職場で働く仲のいい女性社員に相談したところ、「いたずらだからほっとけばいいよ」と言われたため、何もせずに放置するようにしていました。
ところが、怪文書は数日ごとに定期的に届き、その内容はエスカレートするようになりました。また、会社宛にも女性が浮気をしているという内容の怪文書が届くようになり、事態を重くみた女性は探偵に調査を依頼することにしました。
調査の結果、仲の良かった女性社員が嫉妬の果てに行っていた悪質行為であることがわかり、女性は女性社員に対して名誉毀損で起訴することを決めました。しかし、女性社員側弁護士から慰謝料を支払うので示談にしてほしいという交渉があり、話し合いの結果、女性社員の退職と慰謝料請求による示談で解決しました。
怪文書による被害は増えている
現在、怪文書はSNSなども利用されるようになっており、以前よりも被害が増えています。また、誰が送っているのか分からないという匿名性によって悪質になりやすく、被害者の人生に大きな損害を与える可能性があることから、非常に危険な問題と言えます。
怪文書で慰謝料請求が難しい場合の対処法

相手が見つかれば慰謝料請求の可能性は高まりますが、相手が特定できない場合は怪文書を止めることも難しくなってしまいます。そこで、ここでは慰謝料請求が困難な場合の対処法を解説したいと思います。
探偵事務所に調査を依頼する
警察では怪文書の犯人特定を積極的に行うことは少なく、事件性が低いケースや証拠がほとんどないケースは対応が不可能と判断される傾向があります。そのため犯人を特定したい、証拠を集めたいという場合は、探偵事務所に相談することをおすすめします。
探偵であれば、疑わしい人物の身辺調査や怪文書の筆跡鑑定、指紋などを手がかりに調査を進めることが可能です。探偵の調査報告書は、裁判で使用できる有力な証拠となります。
刑事裁判で使用できる証拠を優先
慰謝料請求が難しいという場合は、名誉毀損や侮辱罪などで起訴できる証拠を集める方を優先させましょう。刑事裁判を優先することで、その後、裁判に使用した証拠や裁判結果が、民事裁判で使用できます。結果として民事裁判での慰謝料も請求できる可能性が高くなります。
まとめ

今回は怪文書で慰謝料請求する方法と、実際に慰謝料請求した実例について解説しました。
本記事をまとめると以下のようになります。
- 怪文書で慰謝料請求するなら犯人特定が最優先
- 怪文書で慰謝料請求しても支払ってもらえない可能性もある
- 探偵を使って証拠を集め、刑事裁判でも争えるような状況を作っておく
今回ご紹介した事例では慰謝料請求することができていますが、犯人が特定できず、泣き寝入りするという被害者も実は数多く存在しています。慰謝料請求を考えているなら、まずは探偵に調査を依頼し「犯人特定」をしっかりすることをお勧めします。
PIO探偵事務所は弁護士協同組合特約店の探偵興信所として、年間12,000件の探偵業務を行っており、怪文書の指紋、筆跡鑑定も可能です。ご相談や費用のお見積りは無料です。不安やお悩みはメールやお電話でも承ります。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の著者:探偵社PIO 調査員 Y.K
調査歴10年。
年間200件以上もの調査を行う。